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 主人公の金城健司は、小さい頃から海と珊瑚を愛する心優しい朴訥とした男。夢のように海のことばかり考えているために、仕事にもつかず、家庭でもダメ人間扱いされるような種類の人間でした。
 そんな健司の妻となったのは、幼馴染みの由莉。健司の「美しかった珊瑚の海を取り戻したい」というまっすぐで純粋な願いをあたたかく見守り、二人で“お店がまるごと海”のような飲食店を開店します。
 そしてそのことを皮切りに、さまざまな成功と失敗を繰り返しながら、珊瑚の養殖事業やその海への養殖などに挑戦していきます。

 そのような映画のようなストーリーがあまり詳しく語られないままに、少ないページ数の中で次々と場面転換していくさまはなかなかにめまぐるしく、なんだか走馬灯のシルエットを動体視力で追いかけているような、倒錯的な心境に陥ってしまいそうでした。
 事業ってそんなにうまくいくものなのかよ、そんなににわかにことが進んじゃうのかよ、どうしてこの男にみんなのマドンナが嫁にいくワケよ、などといったツッコミを入れつつ、あっという間に読み終えてしまいました。

 奥付にある「本書のプロフィール」には、「本書は、映画「てぃだかんかん ―海とサンゴと小さな軌跡―」の脚本(鈴木聡・林民夫)をもとにして、著者が執筆した書き下ろしノベライズ作品です」とありました。
 ははぁ、やっぱり。どうりで。
 しかし、小説が映画になるということはよくありますが、映画が小説になる、ということも、今の時代にはあるのですねぇ。
 ま、読みやすいかもしれないけれど、映画のシーンが無理に文章化されているように感じられるところもあったりして。
 映画を観たあとに、それを思い出しながら文字でなぞってみる――というのが、こういう本の正しい利用方法なのかもしれません。
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