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 鹿児島の出版社「あさんてさーな」の発行。布張りのていねいな装丁で、340ページ余りもあるのに、たった1,500円というのには拍手を送りたくなります。

 江戸末期から明治時代あたりの奄美を題材とした19の物語。
 それぞれが文学的な個性を放っているというよりも、むしろ、それら全体から漂ってくる雰囲気や匂いが、古きよき奄美の一端を奏でている、とでも言えるようなつくりの本です。

 生まれながらにして悲しい立場におかれている娘が成長してめらべ(美童)となり、何の因果か支配的立場にある男性との間にさらに不幸な出来事が起こり・・・といった筋書きのものから、海を舞台に力強く生きる奄美の男が薩摩の暴虐に対して堂々とわたり合う姿を描くものまで、多様な物語が展開されます。

 そのような筋書きには目新しいものは感じられませんが、そこには「奄美」に対する温かい眼差しのようなものが一貫して流れていて、とても好感が持てます。
 そのためか、読んでいて物語の世界に時空を越えてナチュラルにシンクロしていくことができました。

 調べてみると作者は、「唐芋レアケーキ」などの製造・販売を手がける会社の社長で、その会社では各種文化事業も展開しているようです。
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