○知名定男



 今年の琉フェスもそろそろ佳境に入ったとみえて、次はお待ちかねの知名定男です。さぁて、今回はどんなステージとなるのでしょうか。

 登場した知名は、いつもの濃いグレーの着物を着て椅子に座り、おもむろにうたい始めたのは、「ナークニー」でした。それともこれ、父定繁が得意とした「門(じょう)たんかー」なのかなぁ。ナークニーの周辺には、これから派生したうたがたくさんあるから、少し混乱。

 多少不安定な入り方をしたなぁと思って聴いているうちに、徐々に安定の度を増してきて、知名一流のナークニーに。もしかしたら、これは不安定なのではなく、ひとつのうたい方だったりするのかも、と感じさせるような完成度の高いものでした。
 散らしは、♪ チーユイユイ、イケユイユイ・・・の歌詞が入っていたので、「ハンタ原」。

 うたい終えて知名は、このごろは周囲から長老呼ばわりされて、民謡界の重鎮などといわれるが、私は自分を今も若手のホープだと思っている、と発言し、拍手を浴びます。

 そして2曲目は、照屋林助の名作「ジントヨーワルツ」です。
 会場から湧き上がる手拍子を「手拍子はいりません」と制して、淡々と、思いを込めてうたってくれました。
 知名は誰に、何を伝えたくて、今こうしてうたっているのだろうか、などという感慨が湧き上がってきます。
 知名のうたを聴くにつけ、いつも考えさせられるこのこと。知名と観客の間には、この二者だけでなく、いつもナニモノかの第三者が関わっているように思えてしまうのだけど、きっと彼の周りには、彼が背負ってきた沖縄民謡界の先輩方のたくさんの思いや教えが魂のような形でウヨウヨと存在しているからなのではないかナ。

 しみじみ調でいいなぁと思って感慨にふけりながら聴いていると、あ〜あ、とうとう隣のオヤジは眠っちゃったよ。もったいないなぁ、一番いいときに。

 知名は、もう一人のウチナーポップの重鎮である喜納昌吉を話題にします。
 その喜納は今や参議院議員。喜納昌吉が大センセイになるとわかっていれば、もっと親しくしていたのにと、笑いを取ります。
 さらに、喜納昌吉を大嫌いだという人が自分のところに来て、その人から、知名さんのつくった「花」はサイコーですねぇと言われたという話で大爆笑。
 この二人、仲があまりよろしくないらしいのだけど、大センセイになっても重鎮になっても、しばらくの間は平行線をたどっていくのだろうナ・・・。

 そんなMCの後は、クレジット外のよなは徹が再び招き入れられ、うたう前にデジカメで知名をパチリ。知名はテレながらも「徹も林賢に似てきたな」と苦笑い。

 そして、よなはが島太鼓を担当して「ケーヒットゥリ節」を散らしの「汀間当」とともに。
 ♪ さやか照る月に ジントーヨー 誘わりてぃヨー ・・・
のうたい出しに続いて、思わず ♪ ケーヒットゥリヒットゥリ と合いの手を入れてしまうおれ。

 で、今度のMCは、「沖縄民謡歌手になりたい」、「南洋小唄を教えてください」と、知名の弟子になろうとしてやってきたヤマトの青年の話を。
 そのように懇願したのは実はTHE BOOMの宮沢和史で、これから彼と1曲やってみたいとのこと。
 知名の紹介で登場した宮沢に、場内は騒然。知名は「おれのときより拍手が多い気がするが・・・」と拗ねてみせます。お、大城クラウディアも三線を抱えて一緒に出てきたゾ!

 宮沢を何回か琉フェスに招聘してきたが、やっと参加してもらえた、と知名。
 そして、3人でこれからうたうおうというのが、ナント、「ヒンスー尾類小(ジュリグヮー)」だというからぶったまげた。おいおい、大丈夫か? ホントにうたえるのか??

 この3人で、このうた。華やかであり、再び実現することもないであろううたの掛け合わせ。今回のモースト・インプレッシブ・シーンだ。これは見とかなあかんね。おい、喰いすぎオヤジ、起きろ!

 宮沢が1番をうたいます。よく歌詞をマスターしましたね、というくらいにしっかり。
 知名が2番、大城が3番・・・とうたいこの順番で6番までうたったところで、大城が歌詞につまずきます。知名の「もとい」の声で再開。彼女は自分のCDで「ヨーアヒ小」としてこの曲をうたっていますが、歌詞が別のものなのですね。
 そしてとうとう11番までうたいつくし、知名のステージが終わったのでした。
 ・・・スゴかったなぁ。いいものを見せていただきました。ゴッツァンです。
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