「男たるもの、立派な心さえ持っていればナリフリにどはどうでもいい? 否! 身だしなみ整ってこそオトナの男の価値がある。服装は心構えの表われ、心とナリフリは一致するのだ。」
 男の演出に薀蓄を傾けつつ、洒脱で軽妙な筆進みで展開される名エッセイです。

 古波蔵保好氏は沖縄県首里市(現那覇市)出身。沖縄日日新聞記者、毎日新聞の論説員を経て、退社後はエッセイスト、評論家として、沖縄の歴史、文化・世相風俗、食などに関する著書を多数発表しています。
 2001年、91歳で没。

 先に氏の本を古書店から4冊購入したうちの1冊。
 ネクタイ、シャツ、マフラー、ジャンパーなどの男の衣裳箪笥に入っている様々なアイテムについてどうあるべきかを論評し、服装の美学とは、ウェル・ドレッサーへの道とは、といったことを大人の目で示してくれています。

 1973年に著されたものなので、現代の特に若者のファッション・トレンドと食い違う点もありますが、現在のような何でもありの服装と比べてみると、正しさ、たしなみ、礼節、粋などの面からはむしろ35年前がすがすがしく感じられます。

 ビジネスマンが好んで着用するスーツのドブネズミ色は、服装の色やつくりなどで目立たずとも、地味な衣裳の内側にある自分自身の価値で勝負できるのだという意思表示。
 ところが、正義や矜持をすっかり失い、「他人とは違う」あるいは逆に「周囲の者と同じ」というような安易な価値判断で装っている現代の男性はどうだ。
 そのあたりを男たちは、立ち止まって今一度よく考えてみる必要がありそうだ。

 なお、当書で述べられている事象は、「日本」。沖縄のことについては一言も触れられていませんので、念のため。
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