戦後混乱期の沖縄で、幼くして体を売って生きてきた金城ユサ。そのあまりにも壮絶な生き方を嫌い、彼女に背を向けて生きてきた二人の娘たちのもとに、“ユサ自殺”の報が届きます。

 ユサの亡骸を引き取るために久々に沖縄へと戻ってきた二人は、近親者からユサの過去の真実を聞かされて、彼女の一途な愛、性愛、そして別れなどに触れ、娘としての母に対する思いが揺れ動きます。

 そして娘は、深い愛に胸を焦がして生きてきたユサを理解できるようになり、「いつか月の光が私を導くときには、私も愛する人のそばにいたい。」と願うようになって・・・。

 暗い過去を隠しきれず、それが日々ににじみ出てしまう女性の劣情。そしてその劣情を打ち消すかのように全身全霊を傾けて注いできたユサの愛は、男性の裏切りによって否定されます。

 しかし、ユサはその男性への愛情や官能の想い出を打ち消すことはできず、愛されたという矜持は自身を精神の迷路へ追い込んで行きます。

 そんな女性の想い、執念、美意識といったものが、爪を彩る真っ赤なマニキュアの色に象徴化されて、深い感動となって読む者の心に残ります。

 「あなたにも愛する人はいますか」

 一途な愛を貫き通したユサの一生。愛に感謝できる、涙が止まらないストーリー。

 1980年沖縄生まれの気鋭作家のデビュー作。次も期待しましょう。
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