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2008.05.13
恋島への手紙 古宇利島への想い出を辿って 〜玉城英彦

本部半島運天港の北東に位置する、隆起サンゴ礁でできた古宇利島。周囲8km、標高104mのこの小さな島が、著者の故郷です。
古文献には「郡島」の記載があり、方言では「フイ」や「クイ」(「海を越えた向こうの地」の意)ともいわれ、アダムとイブの物語を思わせる島建て伝説が残る、沖縄人類発祥の地ともいわれています。
かつては1日3便の連絡船が唯一の外界との窓口になっていて、文明・文化から取り残されてしまったようなこの島にも、2005年2月に「古宇利大橋」が架橋され、島も一変しました。
私も同年12月にこの橋を渡って島を見てきましたが、そこで出会ったオジィが「便利にはなったけどね・・・」と不安そうに話していたのを思い出します。
著者は、1955年生まれで、中学卒業後15歳で島を離れ、名護、東京、ヒューストン、水俣、ジュネーヴと移り住み、今は北海道大学大学院で国際保健医学を研究している方。
離れてみて初めてわかる故郷のよさをしみじみ感じているようで、島への熱い想いを切々と綴っています。
腹ペコで貧しくはあったけれども、楽しかった幼年時代、母子家庭にあって母や兄姉たちの温かい愛情に育まれ、島に特有の水を得る苦労や、1台のテレビが初めて島に来たときの喜び、スイカやウニなどの島の特産品にまつわる島人と子供たちの様子、果てはまだかすかに残っていた夜這いの風習のことなどに言及しています。
シマチャビ(離島苦)が激烈であっただけに、遠いところから届いた誰かからの手紙のような淡々とした語り口が、感動を深めます。
誰も知らなかった、小さな島の、小さな歴史。でもそれは、そこで育った人間にとっては、どんなにそこを離れていても、どんなに時が経って立場が変わっても、大切な歴史であり一生の財産なのですね。
地道な聞き書きのフィールドワークで得られそうなストーリー。286ページで1,143円。内容から判断すれば、これは安いです。
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