昭和20年8月15日、琉球列島の最西端、台湾がすぐ隣の八重山諸島の中心である石垣島には、米も芋も豚も、マラリアの薬もなかった。日本軍によってすべて食べられたか独占されていたのだった。八重山の人たちは助け合いながら、自分たちの生きる方向を模索するのだった――。
 ・・・というので、面白そうだからさっそくネットで購入しましたが、これ、小説ではなく、戯曲の台本だったのですね。
 我が人生において、戯曲を台本で読むなどという機会はこれまでまったくと言っていいほどなかったものだから、少々面食らってしまいました。

 でもおれ、音や絵、小道具などの舞台装置と共に人間が身体全体で表現する演劇というのは、数ある芸術の中で最高峰のものだと思っているし、当時の世相や島人の様子などがよく表現されているので、とても興味深く読ませていただきました。

 作者は、俳優座養成所を卒業後、劇団自由劇場結成に参加し、1980年には「上海バンスキング」で岸田國士戯曲賞受賞したというお方。沖縄関係では当作のほかに「アーニー・パイル」なども。

 先に読んだ奥野修司の著「ナツコ 沖縄密貿易の女王」がベースのひとつになっているので、読んでいて共感するところ多し。
 また、著者によれば、積ん読ストックにある石原昌家の「空白の沖縄社会史 戦果と密貿易の時代」も大いに参考にしたというから、こちらのほうを読むのもまた楽しみになってきました。

 このように、読んだり読もうとしたりしている書物が相互に関係し合ってくることが、読書の楽しみであり醍醐味なのですね。

 でもまあ、戯曲はやはり、実際の舞台を観ないことにはホントではないような気がします。
 全3時間の芝居。2007年10月4〜14日、俳優座劇場で上演されたとのこと。
 これをぜひ、沖縄の演劇集団によって沖縄の地で上演してもらいたいものです。
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