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2008.01.05
ぼくのはつゆめ
晩秋のある日の午後、役所でデスクワークをしていたら、急に召集がかかり、ジャージに着替えてその上にコートを羽織るといった急ごしらえの姿で、公用車で山手にある自然公園へと向かった。
側溝掃除やら雑木の伐採やらの作業をしながらつい公園敷地の奥にある実験圃場まで入り込んでしまったおれは、薄暗くなった夕刻に麓の管理棟まで下ってきたところ、すでにみんな帰ってしまったことに気づき、やれやれ取り残されたかと思うと同時に、さて、県庁舎までどうやって戻るべきか、急に不安になった。県庁舎はこの山の下10キロほどのところにあるのだ。歩いて帰れば夜になってしまう。
そうだ、バスがあったはずだ。数少ない過疎山間地のバスの便だが、その最終便は、ちょうど今ごろのタイミングだったはずだ。よし、これしかない!
おれは管理棟の入口付近に荷物と共に放ってあったコートを急いで纏うと、100メートルほど先にある公園の門前にあるバス停へと走った。
おれがバス停にたどり着くか着かないかというタイミングでバスはやってきて、停車した。今どき珍しいボンネット型のバスだ。バスを待っていた一人の中年女性が運転手と話している。行き先を確認したかのようで、乗るのをやめたようだった。それは、後続を待つような素振りに見えなくもない。
「こんな山奥を走る路線バスに、行先が複数あるものなのだろうか? そして、これのほかに別のバスなどやって来るものなのだろうか?」――という疑問が一瞬おれの脳裏をよぎったが、バスに間にあった達成感と歩かないで下界へと戻れる安堵感がそれを打ち消した。
よし、乗ろう。行先も確認せずそのバスに乗ろうと、手すりに手をかけた瞬間・・・。
!!!!!
なんと、そのバスが走り始めたではないか! しかもそれは、そろそろ・・・という感じではなく、なにかあわてて発進したような、乱暴な動き出し方である。
おれはこのバスに乗らなければ、下界へは戻れない。開けっ放しの乗降口の手すりは絶対に離せない。前方を左右に揺らし、加速しながら下りのくねくね道を進むバスに必死にしがみついた。
なんとか振り落とされることなく車内に入ることができたおれは、荒い息をしながら走行中の車内の人々をにらめつけた。
「どうして停めようとしてくれない!」という言葉が出かかった。――しかし、何事もなかったかのような無表情な3人の乗客を見て、おれのほうが萎えてしまった。彼らの平穏な日常に突然入り込んできたおれのほうが悪いのではないかという猜疑。こちらに背中を向けている運転手も、背中でそう言っているようだ。
苦汁のような腹立たしさを呑み込み、近くの席に着く。
怒りが椅子の慰安と安堵によって徐々に収まっていく中で、車内に掲示してある運賃表に目をやると、なぜか「県庁前」が見当たらない。はて、どうしたことか。この路線はひたすら山を下り、その下に開けた扇状地へと向かう。その扇状地のもっとも上のほうに県庁舎はある。どう考えても県庁前を通らないはずはないのだが・・・。運賃表にはなぜか「教育委員会」がある。はて、それはいったいどこなのか? 県の教育委員会は県庁舎内にある。
まあいいや、どうだって。とにかく下まで行ってしまえば、多少歩いたとしてもたかが知れている。
そして視線を車窓に移そうとしたときに、車内の異変に気づいてしまった。
さっきからどこにも停まっていないのに、乗っていたはずの3人の乗客がいないのだ。
そして、運転手はというと、運転しながらなにやらマニュアルのようなものを広げているではないか。
おれは、かなり危うくなっている運転手のハンドルさばきのほうにまず神経が行った。彼が読もうとしているものをまず取り上げなければならない。あわてて席を立ち上がろうとしたところ・・・。
おれは目を覆いたくなってしまった。なんと、運転手がバスを走らせたまま運転席を立ってこちらに向かってきたのである。
くねくねの下り坂をバスが駆け下りていく。フロントガラスからは、あわててハンドルを左に切る対向車の様子が丸見えである。そしてその視界を塞ぐように仁王立ちする運転手。あぁ、このバスに乗ったのが運命の分かれ目だったのかっ!
運転手によれば、バスは「AUTO」に切り替えて運転しているという。さっき運転手が手にとって見ていたのはバスのマニュアルで、「AUTO」にする方法を確認していたというわけだったのだ。
で、なぜ彼がそこまでして私に歩み寄ってきたのかというと、この車両は乗合用のものではなく、もっぱら貨物用のバスなのだとのこと。そして言うには、昨日も別の運転手の貨物用バスに公園前のバス停から乗ってきた者がいて、しょうがないから下界まで乗せていったところ、降ろす段になって見てみると、そう、・・・消えていたと。だから怖くなって発進したのだということだった。
さっき公園前バス停で乗らなかった中年女性は、すぐ後に来た乗合バスに乗ったのだろうとのこと。ナルホド。
・・・ところで、おい、おれは幽霊か! まぁ確かに、ジャージにコート、疲れ果てた表情で貨物専用に乗ってしまったおれは幽霊に間違えられても仕方がないかもしれない。
ても、待てよ・・・。さっきは、おれのほかに3人も乗っていたけど、そいつら・・・消えている!! 3人も・・・。うわぁーっ、そっちのほうはどうなんだぁーっ!!
それから運転手さん、早く運転席に戻ってまっとうに運転をはじめてくれぇーっ!!
*****************************
というところで目が覚めた、という、「ぼくのはつゆめ」でした。
貨物用バスとか「AUTO」による運転とか支離滅裂だけど、不思議とよくできている部分もあったりして、見てしまった本人がいちばんブキミがっています。(笑)
あなたの初夢はいかがでしたか?
側溝掃除やら雑木の伐採やらの作業をしながらつい公園敷地の奥にある実験圃場まで入り込んでしまったおれは、薄暗くなった夕刻に麓の管理棟まで下ってきたところ、すでにみんな帰ってしまったことに気づき、やれやれ取り残されたかと思うと同時に、さて、県庁舎までどうやって戻るべきか、急に不安になった。県庁舎はこの山の下10キロほどのところにあるのだ。歩いて帰れば夜になってしまう。
そうだ、バスがあったはずだ。数少ない過疎山間地のバスの便だが、その最終便は、ちょうど今ごろのタイミングだったはずだ。よし、これしかない!
おれは管理棟の入口付近に荷物と共に放ってあったコートを急いで纏うと、100メートルほど先にある公園の門前にあるバス停へと走った。
おれがバス停にたどり着くか着かないかというタイミングでバスはやってきて、停車した。今どき珍しいボンネット型のバスだ。バスを待っていた一人の中年女性が運転手と話している。行き先を確認したかのようで、乗るのをやめたようだった。それは、後続を待つような素振りに見えなくもない。
「こんな山奥を走る路線バスに、行先が複数あるものなのだろうか? そして、これのほかに別のバスなどやって来るものなのだろうか?」――という疑問が一瞬おれの脳裏をよぎったが、バスに間にあった達成感と歩かないで下界へと戻れる安堵感がそれを打ち消した。
よし、乗ろう。行先も確認せずそのバスに乗ろうと、手すりに手をかけた瞬間・・・。
!!!!!
なんと、そのバスが走り始めたではないか! しかもそれは、そろそろ・・・という感じではなく、なにかあわてて発進したような、乱暴な動き出し方である。
おれはこのバスに乗らなければ、下界へは戻れない。開けっ放しの乗降口の手すりは絶対に離せない。前方を左右に揺らし、加速しながら下りのくねくね道を進むバスに必死にしがみついた。
なんとか振り落とされることなく車内に入ることができたおれは、荒い息をしながら走行中の車内の人々をにらめつけた。
「どうして停めようとしてくれない!」という言葉が出かかった。――しかし、何事もなかったかのような無表情な3人の乗客を見て、おれのほうが萎えてしまった。彼らの平穏な日常に突然入り込んできたおれのほうが悪いのではないかという猜疑。こちらに背中を向けている運転手も、背中でそう言っているようだ。
苦汁のような腹立たしさを呑み込み、近くの席に着く。
怒りが椅子の慰安と安堵によって徐々に収まっていく中で、車内に掲示してある運賃表に目をやると、なぜか「県庁前」が見当たらない。はて、どうしたことか。この路線はひたすら山を下り、その下に開けた扇状地へと向かう。その扇状地のもっとも上のほうに県庁舎はある。どう考えても県庁前を通らないはずはないのだが・・・。運賃表にはなぜか「教育委員会」がある。はて、それはいったいどこなのか? 県の教育委員会は県庁舎内にある。
まあいいや、どうだって。とにかく下まで行ってしまえば、多少歩いたとしてもたかが知れている。
そして視線を車窓に移そうとしたときに、車内の異変に気づいてしまった。
さっきからどこにも停まっていないのに、乗っていたはずの3人の乗客がいないのだ。
そして、運転手はというと、運転しながらなにやらマニュアルのようなものを広げているではないか。
おれは、かなり危うくなっている運転手のハンドルさばきのほうにまず神経が行った。彼が読もうとしているものをまず取り上げなければならない。あわてて席を立ち上がろうとしたところ・・・。
おれは目を覆いたくなってしまった。なんと、運転手がバスを走らせたまま運転席を立ってこちらに向かってきたのである。
くねくねの下り坂をバスが駆け下りていく。フロントガラスからは、あわててハンドルを左に切る対向車の様子が丸見えである。そしてその視界を塞ぐように仁王立ちする運転手。あぁ、このバスに乗ったのが運命の分かれ目だったのかっ!
運転手によれば、バスは「AUTO」に切り替えて運転しているという。さっき運転手が手にとって見ていたのはバスのマニュアルで、「AUTO」にする方法を確認していたというわけだったのだ。
で、なぜ彼がそこまでして私に歩み寄ってきたのかというと、この車両は乗合用のものではなく、もっぱら貨物用のバスなのだとのこと。そして言うには、昨日も別の運転手の貨物用バスに公園前のバス停から乗ってきた者がいて、しょうがないから下界まで乗せていったところ、降ろす段になって見てみると、そう、・・・消えていたと。だから怖くなって発進したのだということだった。
さっき公園前バス停で乗らなかった中年女性は、すぐ後に来た乗合バスに乗ったのだろうとのこと。ナルホド。
・・・ところで、おい、おれは幽霊か! まぁ確かに、ジャージにコート、疲れ果てた表情で貨物専用に乗ってしまったおれは幽霊に間違えられても仕方がないかもしれない。
ても、待てよ・・・。さっきは、おれのほかに3人も乗っていたけど、そいつら・・・消えている!! 3人も・・・。うわぁーっ、そっちのほうはどうなんだぁーっ!!
それから運転手さん、早く運転席に戻ってまっとうに運転をはじめてくれぇーっ!!
*****************************
というところで目が覚めた、という、「ぼくのはつゆめ」でした。
貨物用バスとか「AUTO」による運転とか支離滅裂だけど、不思議とよくできている部分もあったりして、見てしまった本人がいちばんブキミがっています。(笑)
あなたの初夢はいかがでしたか?
MITSU
覚えている夢が無〜い。
夢は見ているのだろうけれど、ないな〜。
しかし、随分、奇妙な夢ですな。
教育委員会が出てきたところは、
思わず(爆)でした。
今年もよろしく!
旅行計画は、是非、実現させましょう。
夢は見ているのだろうけれど、ないな〜。
しかし、随分、奇妙な夢ですな。
教育委員会が出てきたところは、
思わず(爆)でした。
今年もよろしく!
旅行計画は、是非、実現させましょう。
2008/01/05 Sat 21:10 URL [ Edit ]
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