またまた名もなき沖縄人のドキュメントもの。好きなんですよね、こういうの。

 屋嘉宗業は、1866年生まれで1958年に没した三絃師範。石垣島に渡り、八重山で沖縄古典音楽を広めた初期の立役者なのだそう。
 同じ師範で兄の宗徳については顕彰碑が建立されるなどその足跡が評価されているのに、宗業についてはそういうものがなく、著者は宗業の生き様を記録するため20年かけてこの本を書いたのだとのことです。

 その著者は、宗業の孫の一人。宗業が竹富島につくった妾の子で、宗業の孫として認知されて小さいうちから石垣島に住みます。
 著者の両親が台湾で教員をしていて、義母が身体が強くなかったことから、宗業が引き取って育てたので、すっかりおじいちゃん子になったよう。ま、実の子なのですけれどね。

 何年も前の少ない記憶をたよりに、当時宗業と親交があった人々の関係者に当たってようやく彼のアウトラインを浮かび上がらせたというつくりの本でした。

 登場するたくさんの宗業ゆかりの人物は、おそらく現地では著名な民謡師範たちなのでしょうが、私が知っていたのは残念ながら大浜津呂ぐらい。
 ほかには、親族として登場する民俗学者伊波南哲だけでした。
 もっと登場人物に親近感がもてたらさらに楽しく読めたのにと、少々残念。

 立派な装丁、170ページで1200円。採算合わないのだろうなぁと心配してしまいます。
Secret

TrackBackURL
→http://kakateyapo.blog68.fc2.com/tb.php/378-c00a1794