沖縄学者外間センセイの、若き日の沖縄戦体験記。
 学者らしくたくさんの文献や証言を読破した上で、60年以上も前のものとは思えないくらいにしっかりした自分の記憶をもとに、鮮明に記述しています。

 内容の中心は、沖縄初年兵の著者がある大隊に同行して、首里の北方、現浦添市の当時前田高地と言われた戦略的高地における血で血を洗うような激戦を乗り越え、その後敵の防衛線を突破して浦添丘陵を北東へと逃避する――というすさまじい体験の記録。
 連日の集中砲火の下で這いつくばって戦い抜く日本兵の様子は、まさに死線を越えているようで、生き延びているのが不思議なほど。そんな中にあっても、戦地での学校の同僚との邂逅シーンなどはとても感動的です。

 彼らは終戦を知らずにガマや塹壕で敵の目から逃れながら抵抗し、8月29日、先に捕虜になっていた日本兵の説得を受けて武装を解除、あの屋嘉の収容所に収容されますが、その中での生活のことについても記述があり、こちらもなかなか興味深いものでした。

 これまで私は、激戦が展開されたという嘉数高地やシュガーローフ、富盛の高台などを見てきましたが、この本を読んで、前田高地の今――というのもぜひ見てみたくなりました。
 おそらくはすっかり宅地などに開発されてその名残など跡形もないのでしょうが、その場にたたずんで過去を回想してみるということだって、そう無意味であるばかりではないでしょうから。
 表紙の写真は、前田高地のシンボル、為朝岩。この岩の周辺でも大激戦があったとのこと。現場探索はこれが目印でしょう。

 読了は、奇しくも真珠湾攻撃により太平洋戦争が開戦した12月8日。それから66年の月日が流れましたが、戦争の不幸な記憶や影響は、いまだにあちらこちらにあって、人を沈鬱にさせたり涙を流させたりしています。
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