住みたいけど住めない。でも気がつけば飛行機に乗っている。島の風とウチナーンチュの笑顔に逢いたくて。――こういうのを「通い婚」と言うのだそうです。そうだとすれば、自分は間違いなく通い婚組でありましょう。(笑)

 沖縄訪問歴は数えて35回。何回行っても新鮮で、見る所がなくなるということがないこの島々は、自分にとっていまだに摩訶不思議な存在なのですね。
 で、この本を読んでみると、いやはや、ものすごい人たちがいるものですね。

 1年に9回も沖縄に通い、その都度毎日のように同じ居酒屋に通う男。
 1500キロ離れたところにダンボール一箱の沖縄食材を買うために頻繁に通っているカップル。
 埼玉から毎月1回、沖縄の三線教室に通っている女性。
 彼ら、彼女らの余暇時間やカネの使い道に対する考えというのは、いったいどうなっているのでしょうか。あ。あんまり人のことは言えないけど・・・。

 沖縄移住に関する本は最近特に多くなっていますが、おれとしては移住よりもこの“通い婚”というほうがなかなかしっくりきます。
 沖縄は好きだけど、なにもこれまでの自分の人生や生活を打ち消してまで新たな転地を求める必要は今のおれにはないし、背負っているものも多いけれどそれらはすべてが鬱陶しいわけでもない。時間とカネと健康があれば、通うことについても苦にならない。

 まあ、贅沢なことではあるけれど、地元と沖縄のいいトコ取りをしたい、どっちも失いたくない、ということなのでしょう。
 ゼロサム社会にあってともすればどっちつかずは悪いことのように捉えられがちですが、しかしいいトコ取りは悪いことではまったくなく、むしろこれこそ常識的な選択だとおれは思う。大人はきちっと現実と折り合いをつけるものなのダ、エヘン!

 下川裕治、仲村清司、はるやまひろぶみといった沖縄に関する著述をものする人間たちに加え、女優の水野美紀、漫画家のいしかわじゅん、元バレーボール選手の益子直美も「私たちも通ってます」とばかりに寄稿しています。

 ますます沖縄通いの深みにハマっていきそうな1冊。多くの人の“症例”に触れ、自分がなぜこんなにも沖縄に通うことになってしまったのか――ということについて、少しそのわけがわかったような気がしました。
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