このたびの引越しの際に本棚の中から出てきた未読本。いったいいつ、どういう思いで買ったものだったか・・・。
 発行日を見てびっくり! 昭和51年。1976年ですぜ。30年以上も前の本だ。立派な装丁の280ページにもかかわらず、980円だもんナ。

 で、読んでみた。
 鹿児島の南240キロの群青の海に浮かぶ火山列島の中のひとつ、平島。著者は人口95人のこの小さな島に都会から居を移し、生活することと見ることを同一線上に置きたいと思い、十余年の日々をそこで暮らした――というヒト。
 しかし現実は厳しく、現代という巨大な流れが島を包むとき、神は死に、人々は閉ざされた島の中で皆が皆、ギリギリの線でその日暮しを余儀なくされていた、という。

 南島民俗学の大家谷川健一が「文章は平易であり、その上に生き生きとした批評眼が随所に見られるので、一気に読み通せる型破りの新しい民俗誌である」と述べているとおり、筆致がとても小気味よく、トカラの生活や民俗を垣間見るには絶好の書ではないかと思います。

 この本を読んで、著者稲垣尚友氏の書をさらに読みたくなり、通販で「十七年目のトカラ・平島」(1995年発売)という本を買ってしまったゾ。

 さて、平島。
 島の現況はどうなっているのかを調べてみると、人口は70人余りと、過疎化の嵐が吹き荒れる中で健気にがんばっているよう。
 そして、昔ながらの風俗が最も守り続けられており、中世から続く元服の儀式が今も当時の形式をほとんど変えずに行われている――のだそう。なんか、そそられるものがありますねぇ。
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