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 琉球諸島(奄美沖縄地域)における伝統的な言語が消滅の危機に瀕し、それらをいかに受け継ぎ、後世に伝えていくかが喫緊の課題となっている。
 沖縄県では2006年に「しまくとぅばの日」が条例化されており、またユネスコが2009年に「奄美語」「国頭語」「沖縄語」「宮古語」「八重山語」「与那国語」を「危機言語」に指定して継承への取組を促すなど、保存継承活動が活発にはなってきているが、実際に効果が上がっているかどうかは不明な部分が多い。
 「しまくとぅば」あるいは「地域語」をめぐる現状と課題について、「言語」の視点のみならず、「芸能」「文学」「教育」「文化交流」といった様々な分野から考察を行う。
 さらに、琉球の地域は勿論のこと、台湾、香港など「地域語」と「中央語」との対立構造がある他の地域における現状も紹介し、琉球における言語復興運動(しまくとぅばルネサンス)に活かしていく方法を模索したい。
 ――という斬新な内容のもの。ウチナーグチ、琉球諸語に興味のある者にとってはなかなか面白そうな本。大学における講義がベースにあるというのも、いいではありませんか。

 内容は次のとおり。
・琉球文とシマ言葉 -言語文化の視点から継承について考える-
・しまくとぅばと学校教育
・ベッテルハイムと『琉英辞書』漢語
・沖縄を描く言葉の探求 -沖縄近代文学と「しまくとぅば」
・崎山多美の文体戦略 -「シマコトバでカチャーシー」を切り口に-
・香港における言語状況 -トライグロシアへの軌跡と課題-
・琉球語の表記について -「沖縄語」を中心に-
・琉球民謡に見るしまくとぅばの表現
・「しまくとぅば」の現状と保存・継承の取り組み-沖縄奥武方言を中心に-
・南琉球におけるしまくとぅばの現状 -多良間島を中心に-
・「うちなーやまとぅぐち」から「しまくとぅばルネッサンス」を考える-言語教育の視点から-
・現代台湾における原住民語復興への取り組み
・なぜ琉球方言を研究するか
 著者陣は、狩俣恵一、田場裕規、兼本敏、村上陽子、黒澤亜里子、李イニッド、仲原穣、西岡敏、中本謙、下地賀代子、大城朋子、石垣直、狩俣繁久。沖縄国際大学の研究者たちです。

 琉球語の消滅危機について有効な手だてや本質的な議論がなかなか見受けられない社会状況の中で、琉球語とは一体何か、これから生まれ来る子どもたちにとって、その価値とは何か、改めて考えさせてくれる元気の出る1冊といえるでしょう。

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