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 1970年に講談社から刊行されたのが初出。それを文庫化したものを入手してこのたび読みました。

 「昭和20年、太平洋戦争の最後の戦場として、民間人多数をも巻き込んだ沖縄戦。死と直面した極限的な状況の中で、生徒や教師、家族たちは、自分たちに与えられた日常を黙々と生きていた。生存者に綿密な取材を敢行し、一切の美談も感傷も排し、戦争のありのままの姿を描き切って人間の真実に迫る文学作品。」(裏表紙から)

 この作品が出来上がるまでには大掛かりな作業になったようですが、才能あるベテラン記者4人からなる取材班がつくられ、彼らの聴き取りによって少しずつ戦争体験者たちの心がほぐれ、真実が明らかになっていったようです。そうした200人に近い協力者がいてこそ完成した1冊です。
 取材は重く過酷で、百戦錬磨の取材記者が「まいった、一緒に泣いちゃったよ」と言って帰ってくることも。また、地元新聞社、米国民政府広報局、沖縄教職員会、医師会などを巡って資料集めも行われました。

 曽野はのちに、「ある神話の背景」(1973)で、沖縄戦において日本軍が命じたとされる集団自決強要の確証はなく、軍命があったとする「鉄の暴風」(沖縄タイムス刊)や大江健三郎の「沖縄ノート」等には誤った記述が多いと主張します。
 「生贄の島」は知る限り、曽野のノンフィクション・レポートとしての1作目であり、いわば上記の物議が醸し出された根っこの部分に当たるものだろうと思います。

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