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 著者は、震洋特攻隊の隊長として奄美群島加計呂麻島に赴任した経験を持つ作家。1945年8月13日に特攻戦が発動され出撃命令を受けたものの、発進の号令を受けぬまま待機するうちに終戦を迎えました。
 その当時のことを書いたのがこの作品集。代表的な短編作品と言っていい「島の果て」(1948)、「徳之島航海記」(1948)、「夜の匂い」(1952)、「アスファルトと蜘蛛の子ら」(1949)、「廃址」(1960)、「出孤島記」(1949)、「出発は遂に訪れず」(1962)、「その夏の今は」(1967)の8編が収録されています。(括弧内は初出年)

 1978年の集英社文庫の復刊版として、2017年に発行されたもの。
 南海のカゲロウ島に配属された朔中尉。特攻隊長として、常に死を目の前にして過ごす彼は、島の少女トエに出会う。おとぎ話のような二人の恋。戦局が緊迫する中、遂に出撃命令が下る――。(「島の果て」)
 趣の異なる8編を、寄せては返す波のように体感できる短編集。生々しく描かれる感情表現と、やわらかな筆致で綴られる情景描写とが両立することで、島尾戦争文学の存在は決定的なものとなります。

 全体として表現手法が古典的で、センテンスが長く、句読点が少ない文体。少し読みにくいですが、戦争文学の記念碑的な作品でもあるので、一文一文をよく噛みしめながら読みました。そうでもしないと自分のバカ頭にはなかなか入ってこないものですから。
 復刊にあたり、新たに著者近影などの口絵と巻末の年譜が追加されています。

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