満84歳になった著者が、それまでに書き溜めてきたものをまとめたエッセイ集を出しました。家族たちがこっそり話し合って、新聞や雑誌、機関誌、広報誌などに書いてきた文章をまとめて出来上がったものであるとのことです。いい話じゃないですか。
 統一性や方向性はないけれども、そのほうが面白かろう、それがエッセイ集だろうと思い直して出版に至ったというのもいい話です。
 古いものでは1958年のものから所収され、直近のものは2011年。半世紀以上にまたがるエッセイ集になっているというのがすごいです。

 儀間進の本はこれまで「語てぃ遊ばなシマクトゥバ」(沖縄タイムス社、2000)、「楽しいウチナーグチ」(沖縄文化社、2009)を読んできていて、自分にとっては3冊目でしょうか。

 儀間進という人は、1931年首里生まれ。琉球大学文理学部国文学科卒で、「琉大文学」にも参加していました。高校教師となり、そのかたわら1970年には個人誌「琉球弧」を創刊。
 82年に沖縄タイムス芸術選賞奨励賞。87年、「うちなーぐちフィーリング」(沖縄タイムス社)で沖縄タイムス出版文化賞受賞。沖縄エッセイストクラブ会員。

 目次から項目をいくつか拾い上げると、「標準語との出会い」「祖父の教え・父の教え」「熊本方言との出会い」「方言論争から40年」「沖縄方言が生き残るとすれば」「ウチナーグチ、自信を持って語りたい」「ユンタクは断髪屋で」「コザ文化論」「ベトナム戦とふんどし」「故郷を失うことでものが見えた」など。

 ウチナーグチとヤマトグチのはざまで引き裂かれ、悩み、苦しみ、ときには落ち込み、しかし自信と誇りを持って、自分のことばとそのことばが生み出す沖縄文化のやさしさを語り続けた著者。
 ユーモアとペーソスにあふれたエッセイたちは、著者の自分史であり、同時代の沖縄の文化・社会史でもあるのでしょう。

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