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 1945年、米軍占領下、島民20万人は祖国復帰に立ち上がった!
 わずか8年間で祖国復帰。「エジプト独立の教科書」とまで言われ、世界から注目された、知られざる無血の闘争とは? ――とのキャッチがついている、戦後70年を記念した企画出版です。

 奄美群島は敗戦後、日本から分離され、沖縄と共に米軍に占領されました。その占領下の8年間にわたり、20万人の島民と奄美出身の本土在住者18万人が、空前の祖国復帰闘争を繰り広げます。そして1953年、感動の祖国復帰。若者たちが運動の主体となり、島民一丸となって抵抗し、一滴の血も流さずに無血革命を達成した“奄美の奇跡”を描いたノンフィクションです。

 本書は、そんな戦後秘史を、1年かけて行った関係者への丁寧な取材と、膨大な資料を紐解くことによって、市民主体で行動し、結果を出すという「あるべき民主主義の姿」を、重厚な筆致で描いています。
 繰り返される断食闘争と、なんと99.9%にのぼった署名、命を懸けた本土への密航・・・。今から60年余り前、奄美の若者たちは、本土復帰を求めて、非暴力の運動を続け、ついに実現させます。
 この奄美の奇跡は、言葉の運動でした。若者たちは詩人でもあり「奄美のガンジー」といわれた泉芳郎(いずみほうろう)をはじめ、中村安太郎、昇曙夢、村山家国らのもとに結集し、あふれるほどの胸に迫る詩を以って人々を突き動かしていった様子が描かれています。
 たくさんの人たちの知られざる逸話が満載。今の辺野古の新基地建設問題を考える上でも大いに参考になるのではないでしょうか。

 著者は、永田浩三。1954年大阪生れで、東北大学卒業後NHKに入局。ドキュメンタリー、教養番組作りに携わり、その間「芸術作品賞」「ギャラクシー賞」「菊池寛賞」などを受賞。「クローズアップ現代」「NHKスペシャル」などのプロデューサーとしてNHKの看板番組を支え続け、退局後、映像・言論・社会活動を精力的に続けており、現在、武蔵大学社会学部教授であるとのこと。
 興味深いのは、本文の最後にあるとおり、著者の実家が、1941年から57年まで奄美と本土を結ぶ航路を疎開船などとして活躍してきた「金十丸(かなとまる)」を製造した「藤永田造船所」であったこと。取材に力が入るわけです。

 構成は、「はじめに」に続いて「鹿児島~沖縄までの全体地図」と「奄美大島全体図」が配され、本論として「敗戦から軍政へ」、「奄美のルネッサンス」、「復帰運動始まる」、「弾圧のなかで」、「立ち上がる奄美のひとびと」、「運動は全国に広がっていく」、「奄美と沖縄の連帯」、「悲願達成「奄美の奇跡」」の全8章と「エピローグ」。その後に「あとがき」、「奄美大島年表」、「参考文献」がついています。

 27年に及んだ沖縄の占領期があまりに劇的であるだけに、奄美群島の占領史や祖国復帰運動の影が薄いようですが、その時代の奄美を知る上で極めて有用な1冊だと言えるでしょう。
 当時先頭に立って活躍した人物たちはすでに大部分がこの世を去りましたが、彼らの下に集い、共に闘った若かった闘士たちは、今では80~90歳代となっています。当時を知る者たちを取材し記録するまとまった機会は、もうこれが最後なのかもしれません。

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