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 「沖縄戦に斃れた婚約者の足跡を追って訪れた沖縄の島々。その旅を通じて知った沖縄の苦難に満ちた歴史と現実、人々のまごころ。時の風化のなかで忘れがちな沖縄の心を切々と語り継ぐ、感動の記録」――という本。

 古書店から1円+送料で手に入れたのは、1992年発行の新書。この原著は1972年の「沖縄からの出発――わがこころをみつめて」ですから、書かれてから45年後に読んだことになります。
 収録は「「ヤマト世」二十年」、「二十七度線」、「土着のこころ」、「沖縄に照らされて」、「消えゆく戦の傷跡」、「沖縄人(うちなんちゅ)と共に」6篇です。

 著者は、1923年生まれの随筆家。大阪市出身で、婚約者が沖縄戦で戦死。戦後すぐに結婚するも7年後に離婚。2008年に85歳で逝去しています。

 文章としてはやや難解なほうかもしれません。しょうがないことですが、読んでいて文章表現や内容に古さを感じざるを得ないところがあります。
 「敗戦後、半年たって彼(婚約者)の母にもたらされた公報には、「陸軍少尉木村邦夫様には20年5月31日沖縄本島島尻郡津嘉山に於て戦死。」と記されていた。」
 著者は、25歳で散った婚約者がどういう土地で、どのようにして死んでいったのかを知るために、死後23年を過ぎた1968年になってから、初めて沖縄に渡ります。「二十七度線」ではそのときのことが克明に語られています。
 そしてその際に見聞きした沖縄に惹かれ、著者は何度か沖縄を訪れるようになります。

 ところで、自分が初めて八重山の竹富島を訪れたのは1998年のこと。その際に、新田観光の水牛車に揺られながら、あれが日本の女流作家のナントカという人が島に建てた家だ、という説明を受け、その建物を見た記憶があります。平屋で赤瓦屋根の小さな家でした。そのときは、なんとまあ、またずいぶん遠くに別荘を建てたものだ、酔狂な金持ちのすることは理解できんな・・・ぐらいにしか受け止めていませんでした。
 しかし、今思えばそれが、岡部伊都子が島の子どもたちにたくさんの本に触れてもらいたいとの思いでつくった「こぼし文庫」だったのかもしれません。
 調べてみると、「こぼし文庫」は今もなお新田観光の近くに存在しているようです。

 蛇足ですがこの本を、2017年10月1日に開かれる「琉球フェスティバル2017東京」を見るべく上京したホテルの部屋にて読了しました。

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