沖縄の離島を舞台にした「カフーを待ちわびて」で第1回日本ラブストーリー大賞(2005年)を獲得した原田マハ。
 その後、南大東島のサトウキビを材料にしたラム酒をつくる話の「風のマジム」(2010)も読んで、この作品は自分にとって3冊目の原田マハ作品となります。2014年の作で、16年に文庫化されたものです。
 彼女の作品はこれまで何度か直木賞の候補になっているようです。

 太平洋戦争で地上戦が行われ、荒土と化した沖縄。終戦後、米軍の若き軍医・エドワードはある日、沖縄の画家たちが暮らす首里城北の「ニシムイ美術村」に行きつきます。
 そこでは、後に沖縄画壇を代表することになる画家たちが、肖像画や風景画などを売って生計を立てながら、同時に独自の創作活動をしていました。
 エドワードは言葉、文化、立場の壁を越えてその若手画家たちと、交流を深めていきます。
 芸術と友情の日々が、若き米軍軍医の目を通して描かれていきますが、そんな美しい日々にも影が忍び寄り……。

 これは史実をもとに描かれたものです。
 ニシムイ美術村とは、米軍文化部の廃止(1948年)に伴い、新たな拠点を探していた画家たちが、儀保にあるニシムイ(北の森の意。首里城の北に当たる)に、「オキナワン・アート・ソサエティ」と称しアトリエ付住居を作って移り住んだもの。
 そこでは、後に沖縄画壇を代表することになる玉那覇正吉、安次嶺金正、安谷屋正義、具志堅以徳といった画家たちが、アトリエ兼自宅の小屋を作り、肖像画や風景画などを売って生計を立てながら、同時に独自の創作活動をしていました。

 今で言えばゆいレール私立病院前駅の北側、末吉宮のある山の手前あたりでしょうが、コロニーを物語るものは残念ながらまったくと言っていいぐらいにないそうです。

 沖縄とアメリカをつなぐ、海を越えた二枚の肖像画を巡る感動の物語。
 美術を知悉している原田マハは、こういう作品をものにするのが上手です。

スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://kakateyapo.blog68.fc2.com/tb.php/2066-311b728b