2003年の映画「八月のかりゆし」をDVDで鑑賞しました。

 主人公のテル(松田龍平)は、普通の男子高校生。他の人と違うのは、ユタを母親に持ち、民俗学者で遊び人の父親が幼い頃に行方不明になったこと。
 ある日、母が他界。親戚の謝花家を頼って足を踏み入れた沖縄で、テルは従妹のマレニ(末永遥)に出会う。マレニは14歳。チルおばあの指導のもと、ユタになるために修行中だが、この世のものでないものが見えてしまうため、本当はユタになりたくない。
 家の側にはガジュマルの樹があり、そこにキジムナーがいる。ある日マレニはテルとともに、御獄でひどく悲しそうな少女の霊と遭遇する。マレニはなぜかその少女のことが頭から離れない。少女はマレビトに違いない。
 そう思い始めた矢先、マレニから贈られたカンカラ三線で不思議な曲を弾き始めるテル。「それって「マレビトの唄」?」。そう問い掛けるマレニに、「子どもの頃に聞いたことがあるんだ」と答えるテル。
 次の瞬間、どこからともなくキジムナーが現れ、マレニに向かって手招きをする。ふらふらと後をついて行くマレニ。それを見たおばあのチルは止めるどころか、そのことを知っていたかのように、「あんたも一緒に行きなさい」と着替えの入ったバッグをテルに渡す。
 訳がわからないまま、マレニを追いかけるテル。二人は途中で立ち寄ったライブハウスで、ビデオカメラで執拗に撮影を続ける不思議な女アキに出会い、3人の旅が始まる。聞くとアキも、マレビトに興味を持っているという。
 不思議なことが次から次へと巻き起こり、そして立ち寄った海岸で、何者かがテルに舞い降りる。乗り移られたテルは、もがき苦しみ、泣きながら誰かに向かって叫びつづける。
 テルに乗り移ったのは終戦直後のある日本兵の霊だった。当時、マレビトの里で助けてくれた娘を猜疑心から殺してしまい、成仏できずにいたのだった。そして3人の前に、娘の霊がゆっくりと現れる……。

 ファーストシーンで、主人公テルの母親役として仲田正江が登場。彼女が出るのはそのシーンだけなので、見逃さないようにしなければなりません。
 撮影個所は、本部町が中心で、国頭村「奥」行きのバスやコザのライブハウスなども登場します。

 チルおばあ役は、沖縄芝居役者で、県指定無形文化財(琉球歌劇)保持者の兼城道子(かねしろ・みちこ)。これは2003年の映画なので元気で演じていますが、その後2009年に79歳で他界しています。
 戦後の沖縄芸能界で女性だけで構成された沖縄芝居の劇団「乙姫劇団」で活躍し、2002年の閉団まで副団長。04年10月に乙姫劇団の中心メンバーらと「劇団うない」を旗揚げし、その代表として自ら舞台に立ちながら、後進の指導にも力を注いだ方です。

 マレニの母親役は、きゃんひとみという、沖縄出身で千葉県のベイエフエムで活動しているラジオパーソナリティー・フリーアナウンサーで、彼女の話すウチナーヤマトグチが素敵です。
 コザのライブハウスのシーンでパーシャクラブも登場。新良幸人は例によって赤シャツ、黒パン姿で「Katsuren Catsle」や「海の彼方」を披露。
 元首相の村山富市まで元兵士役として登場。嘉手苅林昌が存命ならこの老爺役は、「ナピィの恋」で東金城本家の当主役を演じた彼が適任だったかもしれません。

 映像はけっして上出来とは言えないし、役者のセリフは台本をただ読んでいるようなところがあったりしたものの、筋書きには沖縄なりの深いものがあったと感じたところ。
 いずれにしても、スピリチュアルなものに下駄を預けるようなところがあり、それが偶然過ぎる出会いの緩衝材となっているなどいい面もあるものの、やはりこれでごまかしが効いている部分が随所にあるなあと思ったところです。
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