FC2ブログ


 2015年3月、古書市場から369円+送料で入手した、1998年に角川書店から発行されたものです。

 1960年代、米軍統治下の沖縄。黒人兵にレイプされ子供を身ごもり、心に傷を負いながらも、その子を育て強く生きようと決意するホステス・ミチ。その現実と向かい合えず惰性の日々を送りながら、灯火管制訓練で自作の照明弾を打ち上げ、支配からの憂さを晴らす青年タケシ。かつて恋人同士だった二人は、対照的な生き方を選んだ。ベトナム戦争が激化し沖縄にも戦場の狂気が波及するなか、再び悲しい事件が二人を襲う…。
 沖縄の歴史とともに生活を続ける芥川賞作家が、琉球の土着文化と彩り鮮やかな自然を背景に綴った、アメリカだったころの沖縄の現実。待望の書き下ろし処女長編小説。

 読み終えたのが2016年1月で、これを書いているのが16年8月になってしまっているので、今となっては明確な読後感というものはなくなってしまっているというのが本当のところなのだけど、米国占領下の沖縄のどろどろとした部分が表現されていた記憶があります。
 幸いこの本は単行本としては珍しく、著者の「あとがき」がありましたので、その中からこの本のポイントと思われる部分を以下に抜粋して、感想に代えることにします。

 1960年代の沖縄は現代の最先端と前近代が混ぜ合わせになっていた。Aサインバーの立ち並ぶ大通りを一歩路地に入ると方々の民家に飼われている家畜が餌を求め、鳴き騒いでいた。Aサインバーの中ではニューヨークや東京の銀座に劣らないファッショナブルな装いの沖縄の女性たちが、世界最強の力を誇示する米兵を相手に嬌声をあげていた。
 私の家の近くには米軍の広大な補給基地があり、ベトナム戦争の頃には血糊のついたジープや、ボディーや窓ガラスに弾の痕のあるトラックが並べられていた。戦車にはベトナムの泥がくっついていた。
 基地からは米兵が鳥籠からいっせいに鳥が解き放たれたように私たちの集落に出てきた。酔っ払った米兵が真っ昼間、電信柱にしがみつき、「帰りたくない」と泣き叫び、同僚になだめられていた。米兵の青い目が何を見ているのか、言葉は何を言っているのか、よくわからなかったが、私はあの頃、タケシやミチのような人物と何度も出会ったような気がする。――
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://kakateyapo.blog68.fc2.com/tb.php/1890-b17f051f