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○上間綾乃

 いったん退いた知名定男が司会に呼ばれて再び登場。尼崎は自分のふるさとで、小学校の5年生までこの地で暮らし、今でも当時の住所を言えると、実際に「長洲大門43番地」と語ります。その表情はより横幅を増してきたようで、なんだか写真で見る父定繁に似てきたような気がしました。
 司会者が言うには、この会場のホールでは泡盛やオリオンビール、沖縄の食べ物なども販売されているのは、琉フェスに深い理解のあるこの会場ならではだとのこと。また、この日の会場には現、前の尼崎市長も来ているとのこと。もう琉フェスは市を挙げてのイベントになっているのですね。

 さて、次に登場したのは上間綾乃。
 定男は沖縄音楽シーンの次代を担っていくであろう上間にエールを送ります。
 このことについて上間は自己のブログで、『民謡界の大御所珍獣・・・間違った、重鎮、知名定男さんのMCで上間を紹介してもらい、「綾乃、頼んだぞ! 頑張れよ!」という言葉に胸がいっぱいになった。技術だけじゃなく、ちゃんと魂も受け継いで行くんだと、改めて強く思った。歴史を繋いできた先輩方を誇りに思う。』と書いていました。
 魂こそがデージということを、若いのによくわかっているじゃないですか。いいぞ、綾乃。

 スレンダーな髪にエキゾチックな表情、さらに八頭身といってもいいような小顔に痩身の抜群なスタイルで、このたびメジャーデビューを果たしたとのこと。
 メジャーデビューは喜ばしいことなのですが、元ちとせや中孝介、遡ればむちゃ加那の名手中野律紀などに見られるような、いわば一時的スターになって使い捨てられていく状況もあり、一概に喜べないこともある。上間綾乃はどうなるのかが少し心配ではあります。



 アコギの伊集タツヤとパーカッションの田代浩一を従えて、1曲目は「遠音(とおね)」という曲。
 ♪ あふれる託された想い 三味の音奏でるこの手に
   遠音 聴けよ声を 受け継ぎし守護のうた
   七つの海越え 光のもとへ ・・・
 三線を主旋律ではなくギターの伴奏のようにリズミカルに弾く上間に漂う雰囲気は、なんだか新良幸人のよう。かといって弾く手の指には三線用の爪がしっかりと装着されており、この新進と伝統の混在が摩訶不思議です。

 2曲目は、アコギをフィーチャーして「声なき命」という曲を。
 ♪ 声なき命 あなたにささやく どこにゆけばいいの
   声なき命 切なる願い 聴いて この声を
 壊されていく珊瑚礁や自然は声を発して何かを伝えることはできない。でも自然にも命があり、伝えたいことがある。聴いて欲しい、声には出せない命。――という沖縄の自然を歌うメッセージ・ソングでした。

 うたいかたを見ると、両手を振りながら、心から魂を搾り出すようなもので、これはなにも上間でなければこうはいかないというものではなく、最近の女性ボーカリストの多くがやっているもの。メジャーでやっていくためには全体の中で埋没しないオリジナリティがなによりも必要であり、上間にはぜひそのようなものを見つけてほしいと思います。使い捨てられないように。

 ここまでの彼女のステージは、なぜこれらが琉フェスでうたう曲なのか、疑問に感じていたところ。
 かつて太陽風オーケストラのキーボーディスト松元靖が、「琉球フェスティバルは三線がないと出られないという不文律があるんですよ」と語っていたのを思い出し、それに対して「そんなことよりも沖縄のソウルのようなものが最も大切なのではないか。(だから太陽風も参加すべきでしょう)」と反論した自分を思い出していました。

 しかし、最後となる「ハリクヤマク」に至っては、その疑問が解消。あのカチャーシーソングをロック調にアレンジしてうたって見せたのには少々唖然としてしまいました。
 すっかり沖縄民謡とは異なるものに仕上がっていたとはいえ、それこそソウルは沖縄でしたねぇ。

 これら3曲はいずれも、この5月に発売されたメジャーデビューアルバム「唄者」からのものでした。
 上間にひとつだけお願い。メジャーになっても、沖縄の魂だけは忘れることなく曲をつくってね。知名定男が訴えた「綾乃、頼んだぞ!」を胸に秘めて。
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