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 「伝説を具体的な事物と関連づけること、伝説が「事実」だった時代の想いを共有すること、伝説の信憑性を少しでも回復させること、それが「伝説を歩く」ということである。」――という力強い前口上で、全36編の伝説話が写真と共に紹介されていきます。

 それらは、あまりにも自分の興味の赴くところと合致しているので、全部挙げておくことにしましょう。
 「鬼餅の由来…内金城御嶽」、「識名坂の遺念火…識名坂」、「怪物ガーナー森…ガーナー森」、「普天満宮の由来…普天間権現発祥之地」、「黒金座主…大村御殿跡」、「真玉橋の人柱…真玉橋」、「琉球の開闢神話…ヤハラヅカサ」、「稲作発祥の伝説…受水走水」、「黄金の瓜子…イシキ浜」、「木田大時の占い…木田大時の屋敷跡」、「白銀堂の由来…白銀堂」、「奥武の観音像…奥武観音堂」、「飛び安里…飛び安里初飛翔顕彰記念碑」、「手登根大比屋…フッチャー石」、「袖離れ坂…野嵩石畳道」、「妖怪を封じた経塚の碑…経塚の碑」、「森の川と天女…森川公園」、「浜比嘉島のアマミキヨ…シルミチュー霊場」、「泡瀬ビジュル…泡瀬神社」、「屋良漏池の大蛇…屋良ムルチ」、「赤犬子の伝説…赤犬子宮」、「運玉義留…運玉森」、「多幸山のフェーレー…フェーレー岩」、「金武観音寺の由来…金武観音寺」、「夫振岩の由来…夫振岩」、「源為朝伝説…源為朝上陸記念碑」、「受剣石…テンチヂアマチジの御嶽」、「大宜味のブナガヤ…喜如嘉の七滝」、「天岩戸のクマヤ洞窟…クマヤ洞窟」、「無蔵水の由来…無蔵水の岩」、「宮古島の創世神話…漲水御嶽」、「ヨナタマと継子伝説…通り池」、「マムヤの悲恋伝説…マムヤの墓」、「野底マーペー…野底岳」、「赤口とティラ石…赤口」、「ティンダバナの伝説…ティンダバナ」。

 いやはや、すごい。沖縄を歩き始めてから四半世紀以上が経つのでこれらの大部分については聞いたことがあり、またかなりの場所を現地に赴いて見てきています。
 この中で未踏なのは、ガーナー森、木田大時の屋敷跡、飛び安里初飛翔顕彰記念碑、フッチャー石、野嵩石畳道、運玉森、テンチヂアマチジの御嶽、喜如嘉の七滝、マムヤの墓、赤口の10箇所。
 沖縄の「まちまーい」のガイドブックとしてスグレモノ。沖縄に行く機会を捉えて、この本を参考に、未踏地についても見に行きたいと思います。

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 3月以降、今日までに買った本は、購入順に次の9冊です。

1 沖縄・離島情報2017-2018 林檎プロモーション 201704 849
2 竜宮歳事記 どんとの愛した沖縄  小嶋さちほ 角川文庫 200601 古477
3 立腹のススメ  宮良長和 沖縄タイムス社 200610 古513
4 オキナワ紀聞  砂守勝巳 双葉社 199806 古351
5 ニッポンの奇祭  小林紀晴 講談社現代新書 201708 古537
6 帰る家もなく  与那原恵 ボーダーインク 201804 1944
7 あの瞬間、ぼくは振り子の季節に入った  荷川取雅樹 ボーダーインク 201803 1836
8 茶と琉球人  武井弘一 岩波新書 201801 842
9 偏向の沖縄で「第三の新聞」を発行する  仲新城誠 産経新聞出版 201707 古401

 いずれも沖縄関係本。1、6~8の4冊は新刊、2~5、9の5冊は古書市場から。
 このところけっこう沖縄本を読んでいて、本棚の未読ストックは少しずつ減少してきています。
 多いときで平積みの山が7つありましたが、今は5つとちょっとで、崩れてきそうな圧迫感が多少は薄らいできました。そうは言っても冊数にすると60冊ほどあり、まだまだなのですが。(笑)

 それは、近時沖縄本をあまり追加して買っていないことにも原因があるわけで、つまりは沖縄に関する面白そうな本がそう多く発売されていないとも言えるのかもしれません。
 この頃の沖縄本の新刊は、その数自体が一時のように多くはなく、内容についても基地問題や沖縄戦、観光などに関するステロタイプなものが中心で、沖縄の地域カルチャーに関するものは激減していると言ってもいいと感じています。
 さらには、新刊発売時に買い残したものをここ数年古書で買い漁ってきましたが、それらもあらかた手に入れて一段落した感じがあります。

 そんな状態でもあったので、本ではなく、久々に買った音楽CDについても書いておきます。
 奄美シマウタの朝崎郁恵の2枚です。これらも中古で格安に。

 CD おぼくり  朝崎郁恵 200505 古2330
 CD うたばうたゆん  朝崎郁恵 200208 古1111



 沖縄関連であれば、ジュニア向けだって読みます。(笑)
 「中二の夏休み。英治、安永をはじめぼくら9人は沖縄に遠征した。沖縄の美しい自然が、アコギなリゾート開発業者によってメチャメチャにされてしまうことを銀鈴荘のまさばあさんから聞いたのがきっかけだ。21世紀には紺碧の海がなくなってしまうなんて許せない!と怒りに燃えたぼくらは、手ごわい土建業者を相手にイタズラ大作戦をくりひろげるが……。サンゴと白浜とマングローブ林に囲まれた小さな秘島を舞台に、元気いっぱい戦った真夏の思い出――。」――背表紙から。

 宗田理の本を初めて読みました。1928年生まれというから、間もなく90歳。
 この作品は1991年初出のようです。当時はバブル景気の真っ只中で、リゾート開発が盛んに行われていた頃でした。映画「ぼくらの七日間戦争」(1991年)の原作小説だそうです。

 舞台は八重山の離島・神室島。八重山の人たちはこの島をパナリと呼んでいるとの記載があるので、これは新城島がモデルなのでしょう。過疎化して学童が4人になってしまったとあり、当時の様子が偲ばれます。今はもう、住んでいる人の数がその程度になっています。
 ここに大規模なホテルとゴルフ場ができるという設定ですが、今となってはそれも夢。いくらすごいリッチマンでもここにゴルフをしにくることはないだろうと思います。

 いくら利口な中学生といえども、大人を相手にこううまくばかりはいかないだろうと思わせる場面が多くあり、子どもならいざ知らず、大人が読んでわくわくするものではないようです。



 満84歳になった著者が、それまでに書き溜めてきたものをまとめたエッセイ集を出しました。家族たちがこっそり話し合って、新聞や雑誌、機関誌、広報誌などに書いてきた文章をまとめて出来上がったものであるとのことです。いい話じゃないですか。
 統一性や方向性はないけれども、そのほうが面白かろう、それがエッセイ集だろうと思い直して出版に至ったというのもいい話です。
 古いものでは1958年のものから所収され、直近のものは2011年。半世紀以上にまたがるエッセイ集になっているというのがすごいです。

 儀間進の本はこれまで「語てぃ遊ばなシマクトゥバ」(沖縄タイムス社、2000)、「楽しいウチナーグチ」(沖縄文化社、2009)を読んできていて、自分にとっては3冊目でしょうか。

 儀間進という人は、1931年首里生まれ。琉球大学文理学部国文学科卒で、「琉大文学」にも参加していました。高校教師となり、そのかたわら1970年には個人誌「琉球弧」を創刊。
 82年に沖縄タイムス芸術選賞奨励賞。87年、「うちなーぐちフィーリング」(沖縄タイムス社)で沖縄タイムス出版文化賞受賞。沖縄エッセイストクラブ会員。

 目次から項目をいくつか拾い上げると、「標準語との出会い」「祖父の教え・父の教え」「熊本方言との出会い」「方言論争から40年」「沖縄方言が生き残るとすれば」「ウチナーグチ、自信を持って語りたい」「ユンタクは断髪屋で」「コザ文化論」「ベトナム戦とふんどし」「故郷を失うことでものが見えた」など。

 ウチナーグチとヤマトグチのはざまで引き裂かれ、悩み、苦しみ、ときには落ち込み、しかし自信と誇りを持って、自分のことばとそのことばが生み出す沖縄文化のやさしさを語り続けた著者。
 ユーモアとペーソスにあふれたエッセイたちは、著者の自分史であり、同時代の沖縄の文化・社会史でもあるのでしょう。



 著者は、震洋特攻隊の隊長として奄美群島加計呂麻島に赴任した経験を持つ作家。1945年8月13日に特攻戦が発動され出撃命令を受けたものの、発進の号令を受けぬまま待機するうちに終戦を迎えました。
 その当時のことを書いたのがこの作品集。代表的な短編作品と言っていい「島の果て」(1948)、「徳之島航海記」(1948)、「夜の匂い」(1952)、「アスファルトと蜘蛛の子ら」(1949)、「廃址」(1960)、「出孤島記」(1949)、「出発は遂に訪れず」(1962)、「その夏の今は」(1967)の8編が収録されています。(括弧内は初出年)

 1978年の集英社文庫の復刊版として、2017年に発行されたもの。
 南海のカゲロウ島に配属された朔中尉。特攻隊長として、常に死を目の前にして過ごす彼は、島の少女トエに出会う。おとぎ話のような二人の恋。戦局が緊迫する中、遂に出撃命令が下る――。(「島の果て」)
 趣の異なる8編を、寄せては返す波のように体感できる短編集。生々しく描かれる感情表現と、やわらかな筆致で綴られる情景描写とが両立することで、島尾戦争文学の存在は決定的なものとなります。

 全体として表現手法が古典的で、センテンスが長く、句読点が少ない文体。少し読みにくいですが、戦争文学の記念碑的な作品でもあるので、一文一文をよく噛みしめながら読みました。そうでもしないと自分のバカ頭にはなかなか入ってこないものですから。
 復刊にあたり、新たに著者近影などの口絵と巻末の年譜が追加されています。



 1994年から2004年まで沖縄で暮らした作家・池澤夏樹が記した、沖縄をめぐるエッセイ、書評、インタビュー、講演、掌編小説を、新城和博らボーダーインクの編集者が厳選をして1冊にまとめたもの。
 「沖縄式風力発言」(1997年)以来19年ぶりとなる池澤夏樹の沖縄県産本。沖縄で暮らした10年と、そこで得た様々な思いが書き記されています。
 単行本初収録されるものも多いようです。「コラムマガジンWander」でのインタビューや、「島立まぶい図書館から眺め」に収録していた書評など、ボーダーインクならでのものも多数。
 解説が宮里千里だというのもファンを喜ばせます。

 この本の刊行にあたり新城和博は、「版元ドットコム」というウェブページで次のように書いています。
 「・・・池澤さんと那覇で飲む機会があったので、沖縄に住んでいたころの文章をいろいろ集めて、あらためて本にできないかと話した。文章のセレクトは僕がおおよそ行い、単行本未収録の文章もできるだけ載せる。池澤さんも、沖縄の10年、そしてこの先を考えるにあたって、あらためてまとめることに興味をしめした。
 結局、沖縄に来る前から去った後まで、およそ25年にわたる期間の中から、エッセイ、書評、インタビュー、講演、掌編小説など、さまざまな沖縄に関する文章を収録した「沖縄への短い帰還」は、話を持ちかけてから2年ほどたち、ようやく刊行することになった。
 ・・・沖縄に来た人も、去って行った人も、沖縄に住んでいる人も、それぞれ時間が過ぎ去った。この本を製作しながら、沖縄で生まれ育ち、ずっとこの島にいる僕も、あの“沖縄”としか名づけようのない季節にいたのだと、なんだかずいぶん感慨深い一冊になった。」

 こうしてみると、本というものもまた、人と人とのつながりの中で生まれ、育っていくものなのだなと思う。そして、そういうストーリーこそが、書き綴られた中身をぐっと味わい深いものにするのでしょう。
 内容の一部を紹介すると、次のとおり。

 エッセイなどは、「今なら間に合うヤンバル探検隊」「沖縄人のための越境のすすめ」「おろかな魔物は直進する」「泡盛にあって他にないもの」「四軍調整官による講演の計画に抗議する」など。
 沖縄に関する本の書評・解説で取り上げているのは、「南島文学発生論」(谷川健一)、「八重山生活誌」(宮城文)、「山原バンバン」(大城ゆか)、「高等学校 琉球・沖縄史」(沖縄県歴史教育研究会)、「アコークロー」(宮里千里)、「琉球王国」(高良倉吉)、「料理沖縄物語」(古波蔵保好)、「水滴」(目取真俊)、「恋を売る家」(大城立裕)、「てるりん自伝」(照屋林助)、「ゆらてぃく ゆりてぃく」(崎山多美)、「沖縄おじぃおばぁの極楽音楽人生」(中江裕司)、「街道をゆく 沖縄・先島への道」(司馬遼太郎)、「新南島風土記」(新川明)、「沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史」(佐野眞一)など。
 講演は「太平洋に属する自分」。

 ボーダーインクにしては少し値の張る本ですが、いい読み応えがありました。