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 いじめを受けて不登校だった航は、小学6年生の春から「神が宿る」という沖縄の離島・神高島にある施設で新たな生活を始めた。そこで、ミウという赤い髪の少女に出会い、次々に不思議な体験をする。――というストーリー。
 2011年の産経児童出版文化賞フジテレビ賞受賞作です。

 神高島のモデルは明らかに久高島。徳仁港やその近くの売店、久高島宿泊交流館、五穀が流れ着いたとされる伊敷浜などの描写が出てくるほか、北のカベール岬も「クベール岬」として登場します。
 モチーフは、里子を受け入れた海浜留学を題材とした鳩間島の「子乞い」(森口豁著、1985年初出)にも似ています。そして、久高島のノロ、キジムナー、海ぶどう、イラブーなども取り上げられているので、沖縄マニア、特に久高島経験者は楽しく読めるはずです。

 著者の末吉暁子は、1942年生まれの児童文学作家。児童文学の延長にあるので、文章は平易でわかりやすく、文字も大きいので、どんどんページが進みます。
 当作は68歳(2010年)での発表ですが、子供同士の会話や使われる用語に古臭さはなくむしろ現代風で若者言葉なのがユニーク。
 2016年に73歳で病没しています。

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 「怪」が日常と隣り合わせに潜む沖縄。この地を包み込む、知られざる恐怖と怪異が今、語られる……。邪悪なものはヤナカジと共にやって来る――。
 TOブックスの「怖い話」の3冊目。ワンパターンなんだよなぁと思いつつ、読んだ小原猛の本はこれで6冊目になります。

 38本の怖い話。各ページは黒い縁取りがしてあり、ページの余白部分が書かれている以上の何かを訴えたそうな雰囲気がいいです。
 カニハンダーとは、神様に取り付かれている、タガが外れているという意味。ほかにもシタナカジ(汚い風)、ヤナカジ(嫌な風)、マブヤーウー(魂の緒)、マブヤーメー(魂の飯)、ターリ(憑依していること)、ジチチケー(術使い)、イチジャマ(生霊)、サーダカー(精が高い)などの沖縄特有のスピリチュアル用語も登場します。

 文章はことさらに怖いところを強調するようなものでなく、むしろ沖縄の死後の世界は現世のすぐ近くにあるのだなと思わせるようなもの。真夏の怪談のように子どもたちを怖がらせる迫力はなく、異界への扉はいつでも目の前に開かれているような錯覚を覚えます。

 著者は「前口上」で次のように記しています。
 私にはすべての話が現実に起きたことだと断言することはできない。ただ、これだけは言えるのである。それが現実に起こったかどうかはともかく、それが起こったと信じている人々は確かにいて、彼らはその体験から大なり小なり、影響を受けているのであると。
 ただ沖縄には怖い半面、優しい神々もいる。神々とは祟りを引き起こすだけの存在ではなく、人々を助ける存在なのである。人と神が協力して調和して初めて、沖縄という存在は実際の価値を見出すのだ。そんな風にも思う。
 とにもかくにも、怖いだけではない、沖縄の不思議な話を聞いてもらいたい。そして沖縄に来たことがない方は、いつか沖縄まで足を運んで、自分の目で確かめていただきたいものである。