著者は、那覇市立壺屋焼物博物館の主任学芸員で、壺屋焼の人間国宝・金城次郎が生きた明治時代以降の壺屋焼を研究テーマにしている方です。
 その著者が、最近の知見を活かした手頃な壺屋焼の入門書のようなものがあればという要望を踏まえて、本書がいささかでもその役割が果たせるならば幸いだと考えて書いたものとなっています。

 これまでの研究成果に基づいて、壺屋焼の歴史をたどり、その特徴、作り方、陶工たちとその作品、壺屋のまち歩きのポイントなどを紹介しています。
 近世琉球陶器の黎明を告げる3人の朝鮮人陶工のこと、初期の壺屋焼に見る陶工たちの家譜、明治以降の壺屋焼の衰退と復興、民藝運動が壺屋焼にもたらしたもの、日本復帰後の現代陶芸など、壺屋焼をめぐる内外のトピックスについて多角的に詳述しています。それでいてなんなく読める、というつくりになっているこの本には敬服します。

 付録(しーぶん)として書かれている、壺屋ゆかりの地を辿る、さいおんスクエアのシーサー、沖縄陶祖の墓へ、井戸・窯・工房・店めぐりなどの項は、壺屋の観光や散策の一助にもなることでしょう。
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 沖縄の「復帰」とは何だったのか。人びとの切実な願いである「平和憲法の下への復帰」となるはずであった施政権返還から40年が過ぎた今、変わらない米軍基地の重圧と構造的差別の現実を前にして、「復帰」の意味を根底から問い直し、真の自立を模索する議論が高まっている。
 沖縄を代表する4人の論客が、沖縄の自立への展望とアジアの中での未来像を熱く語る。
 ――という趣向で、2013年8月に発刊されたものです。

 2012年秋に、法政大学沖縄文化研究所の主催で、大田昌秀、新川明、稲嶺惠一、新崎盛暉の4人により「「復帰」40年、これからの40年」というテーマでシンポジウムが行われ、その後沖縄大学で同メンバーによる座談会が開かれるなどの経過ののちに新たな論稿としてまとめられたのがこの本です。
 登場する4人は、元知事二人に、大学にマスコミ。それぞれ、首魁として沖縄を統率してきた人物であり、沖縄に関する現役としてはトップと言っていい論客です。
 これだけの顔ぶれになると、それぞれが張る論陣がうまく噛み合わずに空回りしたり論理がぶつかり合ったりするもので、そういうところを読み取ることも一興。しかし、この本の場合そういう面がうまく処理されていて、まあ、小難しく考えないで読めるものになっているようです。
 4人の論客の基本的考え方を知る上でも役に立つかもしれません。


 「沖縄に散った最後の陸軍大将牛島満の生涯」とサブタイトルがついた、牛島満の一代記です。
 表題は、1945年6月18日、牛島が第十方面軍司令官に宛てて発した訣別電にある
 「矢弾尽き 天地(あめつち)染めて 散るとても 魂還り魂還り 皇国(みくに)護らん」
という、辞世の句から引用したものとなっています。

 牛島の人物像を、外見は茫洋として中身のある薩摩隼人の典型で、幼少期から陸軍エリートとして純粋培養された、繊細と厳格、情味がほどよく調和した人柄――として描いています。
 そして、陸軍士官学校を20期の三羽ガラスと称されて卒業し、陸軍の教育部門や北満で活躍し、1944年に第32軍の司令官として沖縄に赴任するまでの経過についてを、4つの章を立てて論述されています。
 その後は「沖縄決戦前夜」「日本軍の迷走」「死闘」「特攻」「撤退」と章が続き、終章の「玉砕」で終焉を迎えます。

 牛島について、沖縄県民は、親兄弟たちを死に導き不幸のどん底に引きずり込んだ張本人として最も罪深い軍人と位置付けていると思われます。そのような世論が根強くある中で、このように純粋に「人物」そのものに着眼して比較的冷静に論述していることには一面、敬意を表してもいいのかもしれません。
 しかし一方で、勧善懲悪的な日本人の「心」の面を強調すれば、少し美化し過ぎてはいないかと皮肉の一つぐらいは言いたくなるというのが正直なところ。

 でもまあ、戦記物にありがちな立て板に水の戦況陳述のようなものは後ろに引いており、大きい文字での平易な表現で220ページほどと、ちょい読みには手頃なつくりになっていますから、沖縄戦へのアプローチの一手段としても有用かもしれません。
minyo-kouhaku 201412

 創立60周年を記念し、あの民謡紅白歌合戦が帰ってきます!
 ――というキャッチフレーズで、RBC琉球放送の民謡紅白が復活するようです。

 RBCの民謡紅白歌合戦は、琉球民謡を代表する唄者が一堂に会して名演を繰り広げてきた番組で、RBC創立とともにラジオで始まり、その後テレビで放送され、県民に新年の風物詩として親しまれてきたものです。
 年1回の楽しみであり、わざわざ沖縄に渡って公開録画を見たこともありました。
 しかし、2009年には公開収録がなくなって、歴代民謡紅白の貴重な映像とスタジオ収録の演奏で構成されることになり、翌2010年には放送自体が無くなってしまったのでした。

 そんな悲しい思いをした民謡紅白が、RBC琉球放送創立60周年を記念し、公録ベースでは実に6年ぶりに復活されるとのこと。うれしいじゃありませんか。
 放送は新年1月1日(木)午後3時~4時54分。若手から実力派民謡歌手の華やかな舞台を2時間にわたりたっぷり堪能できるわけです。
 なお、公開収録は12月16日(火)にすでに行われています。

 出演者(予定)は、田場盛信、神谷幸一、前川守賢、加治工勇、仲宗根豊、フェ―レー、仲宗根創、島袋辰也、知名定人、大工哲弘、饒辺愛子、でいご娘、山川まゆみ、うないぐみ、川畑さおり、村吉茜――と、愛好者にとっては垂涎のメンバーです。

 自分は残念ながら見ることができません。どなたか、録画して、私に見せていただけませんか。


 それから、OTVでは、12月12日に収録を終えている『第8回 新春!島唄の祭典』(旧称・東西民謡合戦)を1月2日9時から1時間半にわたって放映されます。
 出演者は、前川守賢、でいご娘、神谷幸一、神谷千尋、とぅるるんてん、我如古より子、ゆうりきやー、宜保和也、大山百合香ということのようです。
 こちらも録画を、どうか分けてください。