全600ページ以上ある分厚い本。2007年の発行のものですが、3,800円(+税)もするので、発行時には買うのを躊躇しました。しかし、古書市場で多少安くなっているのを見つけ、我慢できずにこのたび購入したものです。

 著者は1941年、東京生まれ。横浜市内の小学校教員を経て、日本列島を4年余り放浪。児童相談所のソーシャルワーカーなどを経験して2002年から沖縄大学で社会福祉論を教えています。
 “琉球弧45島フィールドノート”とのサブタイトルが付いていますが、2002年10月から「公評」という月刊に「海と島のある風景―南島民俗紀行」として、月1回離島を廻りながら5年間にわたって連載したもののようです。

 「安田ケ島と安田のシヌグ」、「うふあがり島とバリバリ岩」、「ナナムイの島・池間」、「君南風と「立神」の棲む島」、「タケオバアの島・伊計」、「架橋への夢・瀬底島」、「ダートゥダーの島・小浜」、「アカマタ・クロマタの島・新城」など、全45篇。
 いずれの篇においても島の聖地や御嶽を訪れて、丁寧に拝み、それらのいわれについて記しています。また、地元の小・中学校の様子や、役所や資料館などで手に入れた資料の内容などの基本情報が付されており、参考になるところ多し。

 2004年にはカベルナリア吉田が「沖縄の島へ全部行ってみたサー」という全島めぐりの旅モノを著しましたが、野本サンはそれとほぼ時を同じくしてフィールドワーク的なエッセーとしてまとめていた――ということのようです。

 たいへんなボリュームでしたが、やさしい眼差しに裏打ちされた1島1島の記述には、自分にとっての新しい発見も多く、おもしろく読ませていただきました。
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 2011年3月発行のものを古書市場で手に入れたものです。
 読んでみると、これってどこかで読んだような気がしないでもないストーリー。かつて、あれは2000年のことだったけれども、同じ作家が著した「闘牛の島」というのを読んでいるので、モチーフってどうしても似てくるのだろうなと思って読みました。

 しかし、本文のあとに加えられた「深遠なる闘牛の世界」という解説に代えた著者の長い文章によれば、この本はその「闘牛の島」(1997年刊)を14年後に手を加えた増補新版なのだそうです。
 まあ、同じ内容のものを2度読んでも新鮮だと思う自分があるわけですから、いいのですけどね。

 2000年に書いた「闘牛の島」の読後インプレには次のようなことを記していましたので、以下に抜粋して再録しておくことにします。

 徳之島の闘牛ファンならこの牛を知らない人はいないという、今も語り継がれている名牛「実熊牛」の一生を追った名作です。
 実熊牛の徳之島における戦績はなんと「44戦42勝1敗1分け、勝率9割5分5厘」。そして自らが初代となった優勝旗の通産獲得回数は16。昭和20~30年代にかけてつくられた記録ですが、これらはどちらも現在まで破られていない大記録となっています。
 牛主の実熊実一さんがこの牛に注いだ愛情や期待は並々ならぬものがあったようで、その様子などが、小林照幸の取材とたくみな筆さばきにより描かれています。
 闘牛は、徳之島では一時の慰めとして「牛ナグサミ」と呼ばれ、また沖縄の各地では「ウシオーラセー」と呼ばれて実に盛んですが、闘牛がいままで続いてきたのにも、戦争をはじめとして幾多の危機があったのだということもこの本を読むとよくわかります。また、徳之島のこの牛や、沖縄の「ゆかり号」のように強い牛が登場するたびに闘牛ブームが巻き起こっていたようです。
 とにかく南の島で行われている闘牛はすごいです。興味がない方も一度見てみればそのすごさ、奥の深さに驚くのではないかと思います。・・・


 だいぶ前になってしまいましたが昨年7月、大城立裕の著書(いずれも古書)を6冊まとめ買いしました。
 その直前に読んだ「真北風が吹けば ―琉球組踊続十番」(2011年刊)がなかなかよく、その先駆けとなった「花の幻―琉球組踊十番」が欲しくなったので、そのついでということで。

 しかし、買ったものは作品が出来上がった年代順に読みたいもの。
 購入した6冊は、「日の果てから」(1993年)、「ハーフタイム沖縄」(94年)、「かがやける荒野」(95年)、「恋を売る家」(98年)、「水の盛装」(2000年)、「花の幻―琉球組踊十番」(07年)。
 ということで、この本から読み始めました。

 1945年4月、アメリカ軍が沖縄本島に上陸。凄絶な地上戦の“地獄絵”の中、逃げ惑う住民。刑務所も、遊廓も、そこに縛られる人々も何もかも、沖縄は死の渦のなかで回転し、やがて敗戦とともに浄化される――。
 神女殿内(のろどんち)の家柄である神屋家を絡め、文化、歴史、風土を背景に太平洋戦争末期の沖縄戦を神話的世界にまで昇華させた傑作長篇。――という作品です。

 ある対談で大城は、「自分の作品の中で「日の果てから」が、今でも印象に残っている作品だそうだが…」と問われ、「そうね、「日の果てから」はかなり小説の構造としてもよくできていると思う。素朴さが抜けたところがあったな」と語っています。
 また、「日の果てから」、「かがやける荒野」、「恋を売る家」は、著者自ら「戦争と文化」の三部作と名づけているのだそうです。

 著者は、20年以上前、芥川賞を受賞した頃から一度は沖縄戦を書きたいと念じていたとのこと。そして、書くならば、あらためて自分が書くだけの意味がなければならず、それは沖縄戦も沖縄の過去と未来をつなぐ長い歴史のなかの一区切りだという意味を加えたいと考えていたようです。
 沖縄の文化にとって、戦争とは何であったか。戦争で何が変わり、また変わらなかったか。人々は戦の最中または前後に、何を願ったか。それはどう報いられたか。――などについても表現されており、新しい普遍性の発見もそこにはあったと思います。


 著者は、1940年オーストリア・ウィーン生まれの日本研究者。とりわけ琉球・沖縄や奄美の研究で国際的な評価が高く、また、国際琉球・沖縄学会(というものがあるらしい)の会長であるとのこと。

 本書は、著者の研究成果のアウトラインを示すもので、琉球・沖縄研究を国際的視点から評価する立場で、沖縄大学地域研究所で行った講演をベースにまとめられています。
 柳田國男から「君は沖縄よりも奄美大島の加計呂麻という島に行きなさい」と勧められて昭和37年に渡島したことや、外間守善からおもろの解釈を受けたこと、当時鹿児島県立図書館の奄美分館長をしていた島尾敏雄との交流などが書かれており、興味深い一面がありました。
 しかしその反面、ヨーロッパ人の著者は長い間、文献学・文学の立場、いわば書物の中から日本学を追求せざるを得ない環境にあったようで、それは往来が飛躍的に発達した今となっては、残念ながら学問の手法としては古典的な雰囲気を感じさせます。

 「沖縄研究の国際化」、「世界の沖縄学 ―沖縄研究50年の歩み―」、「沖縄のアイデンティティを考える」、「ヨーロッパ製地図に描かれた琉球」、「ヨーロッパの博物館・美術館保管の日本コレクションと日本研究の展開」、「ヴィーン歴史民族学派と日本民族学の形成 ―日本民族学が中欧の日本研究に及ぼした影響―」、「私の旅の日本」。
 地図や美術館の日本コレクションについての部分は少々退屈というか、専門的でマニアック。しかし、クライナーという人物がどう沖縄・奄美に関わったかが垣間見える部分は面白かったと思います。
○フィナーレ
 クレジットされていたアーティストがすべて出演し終えて、いよいよフィナーレです。今日登場した唄者たち全員がステージに現れました。
 まずは幸人が八重山の「月ぬマピローマ」を無伴奏かつ精一杯の大声で朗々と歌い上げます。
 続いて、ブレザーを着て登場していた下地が宮古島の「伊良部トーガニ」を情感たっぷりにうたいます。いいなあ! 「伊良部トーガニ」。この唄をおのれの“芸道”として追及していた国吉源次は今はどうしているだろうか。
 ・・・としみじみと聴いていると、次は大島保克が独特のビブラートボイスで八重山の「とぅばらーま」をうたいます。今回のフィナーレは、それぞれの唄者が御当地の叙情歌をしみじみうたうという趣向なのかな。

 今度は知名定男の三線に乗せて、またまた幸人がこれまた八重山の「月ぬかいしゃ」をうたいます。
 いつまでも宮古・八重山でもなかろうといった流れで後ろから出てきてきたのは、奄美の里朋樹。三線をかき鳴らしながら「奄美六調」をうたい始めれば、里歩寿もそれに続きます。このあたりからはカチャーシー。

 そして最後は「豊年音頭」。サンサナーとネーネーズが、パーシャクラブのへヴィなバックミュージックに乗せてうたいます。おぉ、Lucyもいっしょだ。ミス沖縄も舞っているなぁ。
 そんな中で知名が、キミもアナタも前に出てうたってよと、エイサーでいえばチョンダラーのような役回りをしているのがおかしい。

 だんだん曲調がスピードアップして、かりゆし会のパーランクーが乱打され、知名は島太鼓セットを叩き、赤シャツの幸人が真ん中で指揮をとり、「また来週!!」で笑いを取ってのエンディング――という狂乱の終わりかたでした。

 終演19時25分。今年も5時間の一大絵巻をじっくりと堪能させていただきました。
 いよいよ来年は20回目の琉フェスだ!


ryu-osk2013 finare

 ここで翌日の琉球新報の記事を引用しておきましょう。

・大阪に響く沖縄音楽 琉球フェスに1,800人  琉球新報 10月28日(月)
 沖縄音楽の祭典「琉球フェスティバル2013」(FM OSAKA主催)が27日、大阪市の大阪城音楽堂で開催された。大御所の知名定男さん、初登場のきいやま商店、Lucyさんら11組の多彩な顔触れが出演した。集まった1,800人(主催者発表)の観客は島唄に乗ってカチャーシーを舞った。
 特別出演した知名さんは「私は現役を引退したが、師匠に鎮魂の唄を歌いたい」と故・登川誠仁さん作詞・作曲の「油断しるな」を披露した。客席から「セイグヮー」「定男!」と熱い声援が飛び交った。
 パーシャクラブ、かりゆし58、きいやま商店がヒット曲で会場を盛り上げたほか、大島保克さんは哀愁たっぷりに民謡を歌い上げた。坪山豊さんと里朋樹・歩寿兄妹は奄美の島唄「ワイド節」で会場を沸かせた。出演者の競演もあり、サンサナーとネーネーズ、下地勇さんと新良幸人さんが楽曲を披露した。

 かつては京セラドームで8千人を集客したこともある琉フェスですが、1,800人とはちょっと少ないなぁといった印象です。

 それから、ネーネーズの真優ちゃんが、10月29日付け「ネーネーズだより」によいインプレを書いていましたので、こちらも記しておきます。

・比嘉真優子 琉球フェスティバル2013大阪
 琉球フェスティバル2013in大阪。天気にも恵まれ、無事、楽しく終えることができました!
 ご来場いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
 ネーネーズは、たくさんのコラボをさせていただきましたよ。
 まず、最初から最後まで、太鼓を叩いていただきました、サンデーさん♪ サンデーさんが後ろにいるだけで、安心感があって、なんか落ち着いて歌えました。
 ネーネーズのみでは、「サイサイ節」と「黄金の花」を……なんと三線で!
 もう、だいぶ前から緊張しまくり。お腹は壊すし…まだまだだな、と痛感。
 そして、サンサナーの皆さん♪ 楽屋でもずっと楽しくお喋り。
 「島々清しゃ」をコラボしたんですが、三線を、名手ユリエちゃんと3名で弾かせていただき、アーサさんには、胡弓を演奏していただき、曲に雰囲気がでて、アイさんの可愛さで更に華を……もう、とーっても楽しかった。島々清しゃを、あんなに笑顔で歌ったのは初めてでした。
 そして最後はSAKISHIMA meetingのお二人とコラボ♪
 もちもち、もッちろん、曲は……『SAKISHIMAのテーマ』!
 もう、本当に本当に、気持ちよくて、お二人のおかげで、寒さとか関係なくなって、私の中では、先島諸島の温かい風が吹いていました。
 ♪ 先島いくゆまでぃん…… と最後に歌った後、感動のあまり泣けてきて、涙をこらえるのに必死!
 こうして、無事、ネーネーズの出番は終わったのでした。
 なんだか、泣いたり笑ったり泣いたり、忙しかったなー(笑) フィナーレでも泣いたし…。
 とにかく、すごくすごく、勉強になった1日でした!
 これを糧に、今日からまた頑張るぞ!
 出演者の皆さん、主催の方々、知名先生、なにより盛り上げていただいたお客さま、すべての方々へ感謝です!!
 本当に、ありがとうございました。
ryufes-osk 201011

 当ブログに書きしたためていた2012、13年の琉球フェスティバル東京及び大阪のインプレッション4本を、このたびホームページ「沖縄病Tobiの琉球弧探訪」に一挙掲載しました!
 手前勝手な記述ではありますが、うたわれた曲名やそのときどきの様子、トピックなどについて詳細に書いていますので、ご一読ください。

 琉球フェスティバル2012東京

 琉球フェスティバル2012大阪
   
 琉球フェスティバル2013東京
   
 琉球フェスティバル2013大阪
   
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 前年10月以降この3カ月余りの間に買った沖縄本は、次の8冊です。

1 島唄よ、風になれ!        「琉球の風」実行委員会  鹿砦社        1470
2 沖縄バカ一代②          カベルナリア吉田      林檎プロモーション  1365
3 遠い夏                成覇公貴           ワニ・プラス      1575
4 「島ぐるみ闘争」はどう準備されたか  森 宣雄        不二出版       1890
5 奄美大島に行きたい                        ファミマ・ドット・コム  1000
6 「沖縄シマ豆腐」物語       林 真司           潮出版社        1470
7 琉球国の滅亡とハワイ移民    鳥越晧之           吉川弘文館      1785
8 クッキングパパ 沖縄料理オンパレード  うえやまとち    講談社          350

 このうち7、8は今日届いたもので、8はマンガ。
 このたびの8冊はページ数的には比較的ボリュームのないものが多い印象。めずらしく、今回はすべて新刊です。

 そして、沖縄戦・基地・政治関係が含まれていないのも珍しいことかも。このごろの沖縄関連の出版物はそれらの類のものがあまりにも多かった、というか、その他のジャンルのものが少なかったのだけど、読むほうからするとその類はちょっと食傷気味だったからね。
 いずれも読むのが楽しみです。