今年の東京・大阪の琉フェスの開催日程が決まっていたのですね。遅ればせながらチェックした次第。

 まず東京。
 2011年10月16日(日)、恒例の日比谷野外大音楽堂での開催です。
 出演者は、登川誠仁、古謝美佐子、加藤登紀子、パーシャクラブ、大島保克、下地勇、よなは徹、サンサナー。司会はガレッジセールです。
 加藤登紀子がなぜ?というあたりをよく知っている人は、かなり古くからの沖縄音楽愛好者でしょう。あの風狂の唄者・嘉手苅林昌が、東京での愛人としてよくツルんでいたという話があります。

 サンサナーは、まだ聴いたことがありません。女性三人組のネオ・オキナワ・ポップスユニットということですが、パーシャクラブの上地正昭と、しゃかりのカンナリがプロデュースしてよなは徹が三線でサポートするというから豪華。去年の琉フェス東京でライブデビューしたのですね。


 次に大阪。
 2011年10月23日(日)、こちらも恒例、大阪城音楽堂での開催。
 出演者は、登川誠仁、知名定男、築地俊造、当原ミツヨ、パーシャクラブ、大島保克、仲田順市&蛍、うるま御殿、上間綾乃。司会は不明。

 東京と比べると、知名定男が追加され、築地、当原の奄美勢が加わって厚みがあります。よなは、古謝、下地が欠けるのはきわめて残念ですけどね。

 自分にとってお初は、仲田順市&蛍とうるま御殿。
 仲田順市&蛍(じんじん)は、大阪大正区で民謡研究所を開いている仲田順市が主宰する、琉球舞踊と唄のグループらしい。
 うるま御殿って、大阪の沖縄料理店のこととちがうの? よくわからないけど、太鼓、獅子舞などのパフォーマンスグループのようです。

 さぁ、今年はどうしようかな。
 去年は仕事の都合で東京・大阪とも行けなかったので、今年はとりあえず、ダブルで行こうかと考えてオリマス。

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 かつて、鳩間島の民宿「マイトウゼ」で同宿したことがあるkouichiさんからメールを頂戴し、加計呂麻・請・与路に特化した「まんでぃ」というガイドブックがあるので、必要でしたらお送りしますよ、とのこと。
 おぉ、そのような本があるのですかっ、それはスバラシイ!
 ほしいほしいと返信したところ、すぐに送ってくださいました。

 kouichiさんは徳之島の在住で、加計呂麻にはまっていて、かの地に年2~3回バイクで訪れているとのこと。
 瀬戸内町のまちづくり観光課が地域限定で発行するこの本があることを知り、奄美・沖縄マニアの当方のことを思い出してわざわざ知らせてくれた、ということのようなのです。
 なんか、ウレシイなぁ。この世は捨てたものではないのだ。

 さてその「まんでぃ」、奄美のシマ口で「た~くさん」という意味だそうですが、いやはや、ホントに盛りだくさんです。
 全220ページ余り。そのページの多くがきれいな写真と簡単なコメントで埋められています。

 まず写真は、理屈抜きにきれい。単なる風景だけでなく、その中に島人の表情や生活の一端などもうかがえるように配慮されているなぁという印象です。
 また文章は、その地の歴史、伝統、風俗、行事などにも意が用いられていることから、そこに住む人たちの内面的な部分についても多少なりとも理解でき、全体としてより深みの感じられるものに仕上がっていると思います。

 構成としてすごいなぁと思ったのは、加計呂麻島などの33集落が、それぞれに独立した形で詳述されているところ。
 たとえば「瀬相」ならば、まずは夕刻、港でフェリーの到着を待つ町営バスの隊列の写真があって、ページをめくると、島西部の交通の要衝である旨の文章と、港の待合所、権現神社、島唯一の信号機、集落内のアシャゲなどのスナップなどが載っています。

 集落ごとのページのほかに、テーマ別のページも充実。
 加計呂麻バス、島のハーフマラソン、島にある戦跡、請・与路と連絡するフェリー「せとなみ」、島の花、蝶、鳥、海上タクシーなどなど。

 自分としては、武下和平の諸数、昇曙夢の芝、朝崎郁恵の花富など、それぞれの生まれジマの様子を知ることができ、また、かつて訪れた諸鈍、西阿室、実久などの風景をなつかしく感じることができました。

 行ったことのない集落もたくさんあります。また、請島や与路島も。
 ページを眺めていて、そういう知らないところにいずれは行ってみたい、あの旅情、感動をかつて訪れた場所でもう一度体験したい、と思わせるに十分、いや、それ以上の内容でした。

 この盛りだくさんの情報誌、サイコー!
 満載の中身を読み込むにはもっと多くの時間が必要です。
 これを読めば、加計呂麻への旅の下調べとしては十分でしょう。そしてその後には・・・。
 あぁ、おれ、きっと近いうちに加計呂麻に行くことになるのだろうな・・・。

 ホント、kouichiさんには感謝せずにはいられません。


 ウチナーグチを理解することは、沖縄の人々の心、昔からの深い思いに触れることになる。ウチナーグチのなかに込められている心に、わずかでも触れてもらえたら――。
 監修者・儀間進の巻頭言です。

 言語学の本にありがちな文法解析や発音記号などがいっさいなく、ウチナーグチとして実際に使われるシチュエーション別にまとめられているフレンドリーな1冊。

 道をたずねる、感動詞、お礼・ほめ言葉、感情表現、叱る・悪口、遊びに誘う、おまじないなど、さまざまな場面で話される、臨場感あふれるウチナーグチが登場します。
 微妙な状況の違いなどを考慮して、ひとつの言葉についていろいろな例を挙げて反復的に解説してくれているため、それらを何度か音読しているうちに、あれ?!なんかおれ、ウチナーグチに開眼したみたい!・・・などと錯覚するぐらい、すっごくわかりやすいです。

 巻末資料の「鬼ムーチー」のウチナーグチによる語りや、クンジャン、ナチジンなど各市町村の方言名一覧、沖縄民謡「谷茶前」の解説などもついて、なんと951円! 買わなきゃ損するよ、お客さん。

 クヌ本ヤ、チャッサヤイビーガ?
 ウレー、951円ヤイビーン。
 安ッサイビーンヤー。クリ売ティクィミソーレー。


 清国と薩摩藩に両属していた琉球。日本が明治の世となったことにともない琉球は、薩摩藩の圧制から逃れられるのではないかとの希望を抱いていました。
 ところが、明治政府の大久保利通内務卿らが断行した台湾出兵など数々の施策は、琉球を清国から完全に切り離し、日本に組み入れようとするための布石なのでした。
 ここに、琉球と日本との不可思議な交渉が始まることになります。

 その経過を物語調に仕立てたのがこの本。
 ウチナー切っての知識人であり、ウチナーの“良心”の体現者でもある大城立裕が長年かけてまとめた作品です。

 この本、文庫版の発売(2010年)から38年も前の1972年に初版が刊行されているらしい。
 では、なぜ今文庫化なのかというと――。
 なんでも、2010年6月、菅直人が、衆参両院で首相指名されたあとの記者会見で、「数日前から「琉球処分」という本を読んでいるが、沖縄の歴史を私なりに理解を深めていこうとも思っている」と述べたことを受けて、出版社への問い合わせが殺到したため、なのだそうです。
 まぁ、こちらとしてもこういう本が容易に手に入れられることはとても好都合ではあるのですが、世の中ってそんな程度のもんなのだなぁとの思いも。

 上巻だけで520ページ余り、下巻と合わせて千ページ超の大作です。
 読み応え十分、というか、語り口調が淡々としていて、どちらかというとあまりエンターテインメント的であるとは言えません。
 しかし、バックデータはしっかりしているとみえて、論調に破綻はなく、事実に忠実なのだろうなと思わせるところが多いです。
 したがって、歴史的に読めばおもしろく、古い資料を読むよりもずっと楽だし、加えて当時の沖縄の人々の心情まで理解することができるというのはスゴイ!という立場で読むのがいいのではないかと思います。


 NHKのBS時代劇「テンペスト」が、去る7月17日(日)から放送されています。
 池上永一作の長編小説がテレビ化されたもので、自分としては久々の、待望のテレビドラマです。

 NHKのホームページによれば――。
 幕末期の琉球。時代の変化の荒波が押し寄せる海洋王国に、男として生きる運命を背負わされた少女がいた・・・。
 『テンペスト』は、琉球王国末期の王宮を舞台に、美ぼうと才能を併せ持つ女性が性を偽って政府の役人になり、人を愛し琉球を愛し懸命に生きる姿を描く、波乱万丈でけんらん豪華なエンターテインメント時代劇です。
 ――とのこと。

 主人公は、美しい沖縄の娘・真鶴が宦官になりすました孫寧温(そん ねいおん)。もしドラマ化するとすれば、この役は仲間由紀恵しかやれないだろうなぁと思っていたら、そのとおりになった。(!)

 第一話を見る限り、比較的原作に忠実に製作されている模様で、国王の母、妻の王妃、姉の聞得王君(きこえのおおきみ)、御内原(ううちばる)と呼ばれる大奥を統括する大勢頭部(おおせどべ)の4人の女たちのバトルの様子などは、本で読んだときのことを思い出して思わず苦笑。

 真鶴が惚れる薩摩藩の武士・浅倉雅博役が谷原章介というのは、やや軽薄か。
 孫寧温の心強い同僚役の塚本高史は、逆にややゴツすぎたよう。(笑)
 沖縄芸人界からは、平良とみや藤木勇人などが参加しています。

 ともあれ、琉装は豪華絢爛だし、首里城でのロケシーンなども時代考証をもとに琉球王国時代の様子をうまく再現しています。
 ま、御冠船芸能の踊りを女性が踊っていたのには、ちょっとがっかり。男性の舞踊家が少なくなった今となってはしょうがないですかね。

 次回、第二話「王妃処分」の放送は、BSプレミアムで、7月24日(日)の午後6時45分から。
 寧温を女と見抜いた聞得大君(高岡早紀)が、踊り奉行の配下にある真鶴の義兄・嗣勇(金子昇)を人質に取り、寧温に宿敵・王妃(若村麻由美)の追放処分を迫ります。
 寧温の下した処分が王府の役人の間で問題となるものの、同僚の朝薫(塚本高史)は寧温を信じて支援する側に。ですが、薩摩に取り入ろうする聞得大君は寧温にさらなる難題を要求する。――という内容だそうです。

 全10回の放送ですから、これから当分の間は楽しめそうですよ~♪


 処分官として派遣されてきた松田道之が琉球に突きつけたのは、尚泰王の上京、清国への朝貢の禁止、明治年号使用の強制など、独立どころか藩としての体裁をも奪おうとするものでした。
 このことによって琉球は、内部でも意見が分かれ、頑固党と開化党の戦いは骨肉化していきます。
 世界で軍隊を最も嫌う国といわれた琉球がどうこれに対処していくのか――。

 物語は佳境に入ってきますが、その中で露わになるのは、琉球側の煮え切らない態度。なんとかして結論を先延ばしにしようとして三司官やそれに次ぐ親方たちが鳩首会議を開きますが、ラチが開きません。
 彼らが考えていることは、対外的にどうかということよりもむしろ、琉球内部の統制の問題であったり、自分たち特権階級の保身であったりするところであり、読んでいて歯痒さがつのります。

 そこで立ち上がるのが、大和や外国を経験して見聞を広めてきた若いサムレーたち。彼らが古い体制の中で徐々に発言力を増していき、苦悩しながらも、松田や伊地知といった明治政府側の役人たちと肩を並べるようにして未来の琉球を考えていく姿には、感慨深いものがあります。

 巻末には、元外務省職員で、母が久米島の出身という佐藤優が重厚な解説をしています。
 彼は、琉球処分の後に発生した八重山・宮古分島問題(1880年)を分析すれば、日本人である沖縄の同胞を守るという中央政府の主張が欺瞞であったことがわかるとし、この構造的差別のかたちは琉球処分のときに組み込まれたと書いています。
 そしてこれと構造的に同じ現象が、21世紀になった今でも、普天間飛行場の移設問題などで繰り返されていると嘆いています。

 そして、次のように現状を憂えています。まったく同感です。

 沖縄の人々の間に、かつて自らの国家であった琉球王国が存在し、それがヤマトによって、力によって滅ぼされたという記憶がよみがえってくる。
 そうなると日本の国家統合が内側から崩れだす。
 この過程が始まっていることに気づいている東京の政治エリートがほとんどいないことが、現下日本の悲劇である。
 いまわれわれが直面している危機を認識するために、本書がひとりでも多くの人の手に取られることを望む。


 柳田国男の見た沖縄――というので、自分が買うものとしては少々高い(2,900円+税)ですが、この際というので勇んで購入。
 沖縄に関する柳田らしい考察が書かれているのだろうなぁと。

 しかし、はっきり言ってかなり期待はずれなものでした。
 というのも、この本の内容、大正9年から10年にかけての約2ヶ月、九州から沖縄・宮古・八重山・奄美をめぐった際に持ち歩いた手帳の内容を忠実に再現するというもの。
 そこに書かれたひとつひとつは含蓄の深いものなのでしょうが、いかんせん、あまりにも断片的。たとえば――。
○屋取 今、寄留人といふ。近代の島内移民、前後三回ほど此運動ありと伊波君研究を発表。
○瓢 ツブルといふこと。頭をもツブレルといふなり。
○模合 頼母子の事、辻などにもモアイ(ムエー?)今も盛に行はれる。
・・・といった具合。これが延々200ページほどにわたって続きます。
 柳田研究者には垂涎でしょうが、その研究結果をわかりやすく解説してもらってようやく理解、納得できるような凡庸な読者(おれのことですね)にとっては少々ハードに過ぎます。

 さいわいしたのは、酒井卯作による柳田の「南島旅行見聞記」の解説である「旅する貴族」。
 巻末の付録といった位置づけですが、立派な文章になっているので(笑)、内心ほっとしつつ、とても楽しむことができました。
 柳田の時代の旅とはおそらくはこういうものであったろうということについて、数々のエピソードや豊かな想像を交えて書かれています。

 やはり文章というものは、あまり大きな省略はせず、どう書いたなら相手にとってわかりやすいかという角度から十分に推敲されたものがいいですね。
 自分の仕事を振り返ってみても同じことが言えそうで、自己陶酔的な文章とか、文脈がはっきりしない文章とかというものは、そもそも読み手のことをあまり考えていないことが一読してわかってしまうもの。
 それは文章を書く能力がないのではなく、伝えるべき相手のことを明確にイメージできないといういわば想像力の欠如に起因するものなのではないでしょうか。

 ブログをつくったがどうもアクセスが増えなくて、などという相談も受けたりしますが、これも想像力の問題。どんな美文を書いたって、相手の気持ちの琴線に触れるようなことがなければ再度読みに行こうなどとは思わないものですからね。

 これらのことについては自分としてもしっかりと心に留めて文章を書かねばなるまいなぁ。


 かつて沖縄にはひるぎ社という小出版社があって、そこからハンディな新書版の体裁で「おきなわ文庫」というシリーズとして多くの作品が世に問われていました。
 沖縄には地域の文化を牽引するものとしてこういう出版物があるのだなぁと感心していたものでした。
 そのひるぎ社が倒産して幾星霜、その遺志(?)はどうやらボーダーインク社のボーダー新書が受け継いでくれたようで、喜ばしい限りです。

 当書は、「島唄レコード百花繚乱」や「恋するしまうた 恨みのしまうた」などに続いて5冊目のボーダー新書です。

 思わずニヤッとする奇人変人、名言・珍言・・・。歴史の裏エピソード集が満載された1冊です。
 各分野で活躍した沖縄の優れた先人たち。そんな彼らにスポットを当てると、出るわ出るわ、ユニークな人物像の数々。

 登場するのは、歴代の琉球王、平敷屋朝敏、ベッテルハイム、頑固党の首領・亀川盛武、移民の父・当山久三、海軍少将・漢那憲和、首里市長・仲吉良光、早大総長・大浜信泉、徳田球一、オリオンビール創設者・具志堅宗精、密貿易の女王・金城夏子、女山田長政・照屋敏子、新聞人・池宮城秀意、宗教学者・比屋根安定、空手家・船越義珍、政治家・当間重剛、同・比嘉秀平、悪名の官選知事・泉守紀、初代主席・屋良朝苗、高等弁務官・キャラウェイ、テンブンヤー・岩崎卓爾、沖縄研究者・真境名安興、伊波普猷、東恩納寛惇、比嘉春潮、喜舎場永、民芸の提唱者・柳宗悦、宮良当壮、伊波南哲、詩人・山之口貘、劇作家・山里永吉、民謡家・野村安趙、金武良仁、役者・真境名由康、沖縄のチャップリン・小那覇舞天、岡本太郎、沖縄のゴッホ・大嶺政寛などなど。
 すげすげ。掲載されているエピソードは全部で209にもなる、とのことです

 登場する人物像についてのある程度の予備知識さえ持っていれば、きわめて楽しく読み流せる1冊。
 沖縄マニアの琴線にビンビン来るものがあると同時に、久々に沖縄モノらしい脱力感を覚えました。