hashireumi.gif  tarama.gif

 2月の8日から12日にかけて、沖縄本のまとめ買いをしました。
 それらは次の12冊です。

1 多良間島幻視行  波多野直樹 連合出版 201802 1944
2 神様の棲む診療所(2)  竹村優希 双葉文庫 201712 619
3 一九四五年 チムグリサ沖縄  大城貞俊 秋田魁新報社 201712 864
4 Happy islandの本8  FM沖縄、多喜ひろみ ボーダーインク 200808 古301
5 ほんとうの琉球の歴史 神人が聞いた真実の声  渡久地十美子 角川フォレスタ 201110 古1173
6 尚円王妃宇喜也嘉の謎―ほんとうの琉球の歴史2  渡久地十美子 ボーダーインク 201303 古970
7 ツタよ、ツタ  大島真寿美 実業之日本社 201610 古351
8 アンマーとぼくら  有川浩 講談社 201607 古322
9 緑の風景 わたしの挿話たち100  大城立裕 沖縄タイムス社 200706 1680
10 走れ思徳 続「琉球王女百十踏揚」  与並岳生 琉球新報社 201712 1836
11 本日の栄町市場と、旅する小書店  宮里綾羽 ボーダーインク 201711 1728
12 キジムナーkids  上原正三 現代書館 201706 1836

 1、2、11、12の4冊は楽天ブックスから。
 3~8の6冊はAmazonからで、そのうち3だけは新品。
 9と10の2冊は那覇のジュンク堂書店で購入したもの。

 5以降の8冊については、2月9~12日に沖縄に行ったときに那覇のジュンク堂書店で沖縄本をチェックして、欲しいと思ったもの。それらをいったんネットで調べ、ネット上で売っていない2冊は現地で買い、それ以外は古書と新品にてネット通販で買ったものとなります。

 わずか5日の間にずいぶんがっつり買ったなぁという印象。
 当分は読むものがなくなる心配がなくて精神衛生上とてもいいのですが、書棚の一角が未読本の山となっており、とうとうその一角に収まりきれなくなってしまいました。
 未読本は何冊溜まっているのか数えてみると、ざっと75冊ほど。つまり、自分にとっては約1年分のストックがあるということになります。

 それではまず、書棚を整理して収納スペースをつくることにしましょう。
 そして、読まなければ。

スポンサーサイト
 一時八重山民謡の中心的存在だった「ウムザ」こと山里勇吉が逝去した、との報に触れた。
 2月9日から那覇に行っていて、沖縄タイムスを読んで知ったのだった。

 マイクを使っているのだろうと思って聴いていたら、それが地声だったというぐらいの圧倒的な声量には驚愕したものだ。
 NHKの番組で観た石垣島白保の豊年祭で、行列の先頭に立って唄い歩く山里はふつうのオジサンなのになぜかCOOLだった。
 桜沢有理のプロデュースで、晩年の嘉手苅林昌と二人で本島と八重山の同名異曲を収録したCD「うたあわせ」(1999年)は実に白眉だった。
 映画「ナビィの恋」(1999年)でアブジャーマー男となった山里は、“トゥバラーマ”、“月ぬ美しゃ”、“ロンドンデリーの歌”とともに空手の型まで披露した。
 NHKテレビ「ちゅらさん2」(2003年)では古波蔵恵里の祖母ハナ(平良とみ)の婚約者・大浜豊を好演した。

 その山里も、享年92歳だったという。
 また一人、沖縄民謡界の巨星が堕ちた。残念でならない。
 この世にはもう、嘉手苅林昌も、照屋林助も、登川誠仁も、いない。時代は、このようにして少しずつ変わっていく。



 以下に2月10日付の琉球新報電子版を引用しておきます。

・山里勇吉さん死去 八重山民謡の大御所、92歳
 八重山民謡の歌手山里勇吉さんが(2018年2月)9日午前4時28分、肺がんのため宜野湾市内の病院で死去した。92歳。
 山里さんは1925年石垣市白保生まれ。16歳のころから三線を始め、57年に開かれた八重山全島とぅばらーま大会で優勝を機に、本格的に八重山民謡を学ぶ。声量、声の高さ、美しい節回しで、多くの人を魅了した。
 大工哲弘さんなど多くの後継者育成にも励んだ。八重山音楽安室流保存会師範、琉球民謡最高師範。99年県無形文化財「八重山古典民謡」保持者。長年県社会福祉協議会資金づくり芸能チャリティー公演の実行委員代表として企画、運営に関わり、2005年度の県功労者として表彰された。
 告別式は11日午後3時から4時、浦添市伊奈武瀬1の7の1、いなんせ会館。喪主は八重山音楽安室流室山会理事長の名幸諄子さん。

yukichi2.jpg



 琉球新報に2005年4月から1年半にわたって連載されたもののよう。
 単行化された著者作品のなかでは13本目のものです。

 沖縄本島で脚本家を目指すものの何度も賞に落選した諒太郎は、心機一転を図ろうと故郷の離島・湧田島で民宿をはじめようとします。宿泊客から奇人を探して脚本のモデルにしようとの企みです。
 又吉作品に登場する他の主人公男性と同様に、いつも優柔不断で、自分の言いたいことを心でぐっと止めるような性格の持ち主です。

 その諒太郎の周りを、幼馴染である修徳や、猛雄、秀敏、安七、徹などの村役場関係者が脇を固めています。しかし彼らはいずれも考えに芯がなく、前言を簡単に翻すような軽い男たちです。
 そこに、本島から島にやってきた周子、周子と入れ替わるようにやってきたその娘のクミ、これも本島から来て役場で短期就労する文学少女の千穂子などの女性が絡んで、つかみどころのないナンクルナイサ的な又吉ワールドへ。(笑)

 そしてさらに、戦争体験者の長老、千穂子の文学パートナーの夢遊病者、霊能者のナベおばあ、魚の眼を好んで食べるキジムナー男、毒のような薬をつくる秘薬老女、島のあちこちに落とし穴を掘る自然保護運動家の与儀、全身皮膚病のミイラ少女、CM制作会社の伊波などが次から次へと登場し、小さな離島を舞台に様々なことが起こります。

 それらはいずれも一般的に見れば奇異なことばかりで、普通の離島でよく起こるようなこととは到底思えません。
 もしかしたらそれらは、作家の脳内をシュールな形で表現しているのかもしれないとは思ってはみるものの、パーツパーツはそれぞれがつくり話の喜劇でしかなく、読者にとって脈絡のない喜劇はダジャレの連発を聞かされているのと同様にあまり楽しいものではありません。

 著者本人はこの作品について、「登場人物に自分が歩んできた軌跡を分け与え、60年の人生すべてを島という器に込めた作品です。今の都会の人は感情を抑え、自分を偽っている。でも、物語の人物はみんな赤裸々で言いたい放題、やりたい放題。自分をさらけ出せば相手だって自分を出す。それが調和した共同体を作るのではないでしょうか」と語っています。

 そうかもしれません。
 しかし、このような島は、現実としてはどこにもないことは確かでしょう。
 心境を包み隠さずに言えば、「結局この小説で何が言いたかったの?」。
 池上永一の描くようなエンターテインメント小説にはなりきれていないし、いちおう純文学なのだろうとの想定で読んでいる身にとっては中途半端であり、あまりぱっとしない読後感が残りました。

 氏の6年ぶりとなる15冊目「時空超えた沖縄」(燦葉出版社、2015)がすでに手元にあるので、近々それも読みたいと思います。

   furushokudo.gif   shangrila.gif

 2017年の10月末から年末までに買った本は、次の12冊です。

1 埠頭三角暗闇市場  椎名誠 講談社文庫 201711 820
2 OKINAWA 宮古島の悪魔祓い  和久峻三 光文社文庫 200608 古258
3 私の前に、最後の女  草凪 優 徳間文庫 201405 古258
4 古食堂味巡り  嘉手川学 編集工房東洋企画 201210 古341
5 沖縄県営鉄道殺人事件  辻 真先 講談社ノベルス 199007 古258
6 シャングリ・ラ  池上永一 角川書店 200509 古281
7 太田和彦の居酒屋味酒覧〈決定版〉精選204  太田和彦 新潮社 201612 1080
8 橋ものがたり  藤沢周平 実業之日本社 200702  古358
9 新装版 霧の果て―神谷玄次郎捕物控  藤沢周平 文春文庫 201009 古346
10 新装版 闇の傀儡師(上)  藤沢周平 文春文庫 201101 古258
11 新装版 闇の傀儡師(下)  藤沢周平 文春文庫 201101 古356
12 夜の橋  藤沢周平 文春文庫 201107 古261

 新品で買ったのは1と7のみで、あとは古書。古書は安く買えてとてもいいのです。

 沖縄関係は2~6の5冊。このうち3は沖縄を舞台とした官能小説で、その類の本を買うのは初めてのことです。なかなか好みの沖縄関係本の出版がなく、とうとう官能小説にまで手を出してしまいました。

 8~12の5冊は藤沢周平。概ね発行年代順に読んできていて、今回購入分は初出が1980~81年のものになります。

 ほかはシーナと太田和彦です。



 2017年中に読んだ沖縄関係本の50冊目。
 「風車祭(カジマヤー)」「テンペスト」「トロイメライ」「統ばる島」などに続く前作(「黙示録」2013年)から4年ぶりとなる、632ページの大著。沖縄からボリビアに移民する者たちの物語であり、デビュー23年にして初めて沖縄戦を取りあげた作品。
 過去1年間に最も面白いと評価されたエンターテインメント小説に贈られる山田風太郎賞(主催・角川文化振興財団など)の2017年の受賞作です。
 著者は2015年、ボリビアの沖縄県人移住地「コロニアオキナワ」へ渡って取材し、物語を構想。選考委員の京極夏彦は、「圧倒的なスケール感と情報量をさばく巧みさ、小説としての深みがずばぬけていた」と評価したとのことです。

 筆致はいかにも池上永一。主人公はパワフルで超人性を遺憾なく発揮しているし、場面展開が速くて目が回るようだし、沖縄特有の「マブイ」も大活躍。たしかにエンターテインメントとしては優れていると感じるものの、ストーリーが多元的で、それについていくのに多少の苦労が必要です。それでも、厚さのわりにはどんどん読み進めることができました。

 ウェブ上にあった末國善己(文芸評論家)の書評が適切だったので、以下に引用しておきます。

・沖縄からボリビアへ、魂の奔走
 故郷の沖縄を描き続けている著者の4年ぶりの新作は、第2次大戦後に沖縄県人が南米のボリビアに移民した知られざる歴史を題材にした壮大な物語である。
 沖縄戦を生き抜いた少女・知花煉は、過酷な経験によってマブイを落としてしまう。戦後の闇市で成功した煉だが、表に立てた男が共産主義者だったことからアメリカ陸軍の諜報部に追われる身となる。ボリビアへ逃走した煉を待ち受けていたのは、農地とは名ばかりの原生林だった。
 重労働に加え、大河の氾濫や疫病が移民を苦しめるが、煉は、女子プロレスラーのカルメン、日系3世のイノウエ兄弟の協力もありしたたかに世を渡っていく。転んでもただでは起きないパワフルな煉には、読者も勇気がもらえるだろう。
 だが米軍諜報部は追及を諦めておらず、煉は生活を守るため、親米派と反米派が争い、ナチスの残党が暗躍する南米で政治がらみの危険な仕事を請け負う。その頃、煉から分離したマブイは革命家のゲバラと恋仲になっていて、煉の本体もキューバ危機へと向かう激動の渦に巻き込まれる。
 南米文学のマジックリアリズムの手法を取り入れてきた著者が、冷戦下の南米を舞台に選んだだけに、歴史小説、幻想譚、国際謀略小説などの要素が詰め込まれ、面白さも増している。
 ソ連に備えるため米軍基地が増強された沖縄を離れた煉だが、一種の棄民として沖縄県人が送られた南米は、冷戦の最前線だった。この展開は、日本の戦後復興が、二重三重に沖縄の犠牲の上に成り立っていた事実に気付かせてくれる。
 沖縄戦でマブイを落とした煉は、戦争を嫌い、ゲバラの武力革命にも懐疑的だった。そのため煉は、マブイを戻して自分の中の戦争を終わらせ、平和をもたらすために奔走する。この終盤が感動的なだけに、ハッピーエンドを拒み、沖縄の怨念が決して過去の問題ではないと突き付けるラストには、衝撃を受けるはずだ。



 「〈移動〉による新たな〈オキナワ〉アイデンティティの生成とは…!
 移民など、そのエネルギーはどのような社会変動や文化混交を生みだし、どのような文学表現を生み出したのか。」

 「ディアスポラ」という言葉に強く惹かれて、中古市場から入手しました。
 ディアスポラとは、(植物の種などの)「撒き散らされたもの」という意味のギリシャ語に由来する言葉で、元の国家や民族の居住地を離れて暮らす国民や民族の集団ないしコミュニティ、またはそのように離散すること自体を指すのだそうです。
 この視点を援用して沖縄のアイデンティティや「沖縄文学」について考えてみようというのが本書であり、琉球大学「人の移動と21世紀グローバル社会」プロジェクト叢書の第1巻という位置づけになっています。

 琉球大学に招聘された「ディアスポラ」文学の研究者の講演を基本としたものになっています。
 第一部「沖縄ディアスポラの文学」では、マウイ島生まれの2世作家ジョン・シロタの作品が生まれた背景や、「踊り」の著者で沖縄系カナダ人作家ダーシー・タマヨセへのインタビューが収載されています。
 第二部は「移動する沖縄文学」。米国に舞台を移した戯曲「カクテル・パーティー」についての大城立裕とフランク・スチュワートとの特別対談、「抑留三部作に見る「移動」」としての宮里静湖の作品に対する論考など。
 第三部は「〈旅〉と文学」。〈移動〉を沖縄だけの問題とせずより大きな視点から映し出すために、管啓次郎、野田研一、笹田直人の講演が収載されています。

 「まえがき」で、山里勝己は次のように記しています。
 「20世紀初頭の沖縄人(あるいは琉球人の痕跡を強く保ったままの人物たち)の海を越えて環太平洋に拡散していく移動は、征服、亡国、併合そしてそれにともなう旧体制の融解がその背景にあった。
 沖縄をめぐる1945年の日米の激烈な地上戦は、土地を強奪され、住み慣れた場所を喪失してふたたび海を越えて環太平洋に拡散する人々の移動(または流浪)をもたらした。
 このような移動は故郷(定住する土地)や伝統や固有文化の喪失をともない、文学には〈移動の不安〉に苛まれながら土地を追われ、漂流し、定住地を求めて新たな世界へと浸透していく大衆が描かれるようになった。
 そして「移民」という経験やその「成功」という物語も、文学ではクリティカルなまなざしをともなって書かれるようになった。
 異郷への越境の不安や混乱に満ちた移動は、やがて移動先での定住と「誠実な労働」による成功という神話を生みだし、同時に、〈移動される不安〉と〈移動してきた者たち〉の力に翻弄され、自らの土地で他者化される人々をも生み出した。これはハワイの歴史をふり返ると自明のことであろう。
 そしてじつは「移民県」と呼ばれてきた沖縄が、歴史的には近世――例えば1853年のペリーの来航――から継続して〈移動される不安〉と悪夢に苛まれてきた場所であることも確認しておく必要があるだろう。
 このような〈移動される人々〉や〈移動される土地〉に向けられた人の移動のエネルギーはどのような社会変動や文化混淆を生みだし、新たな〈オキナワ〉アイデンティティの生成に繋がり、どのような文学表現を生み出したのか。……」

 ところで、この古書には背表紙に図書シールが貼ってあり、1ページ目に「プール学院大学」のゴム印が押印されていました。つまりは大学図書館の放出書なのでしょう。おそらく誰も読んでいないであろう、ほぼ新品の極上品です。
 プール学院大学は、大阪府堺市南区槇塚台に本部を置く日本の私立大学。1996年に設置。建学の精神は「キリスト教による円満な人間形成」で、国際文化学部と教育学部を有しています。
 2018年4月には、設置者が学校法人桃山学院に変更され、名称が桃山学院教育大学に改称される予定であるとのこと。ははあ、学校の再編に絡んで、図書館の書物も整理、放出されたのでしょうか。