○琉ゆう会

 ここで一服、京都の琉ゆう会です。
 誰が何回参加した、ということが毎年琉フェスの話題になりますが、なんてったって出場回数が多いのは琉ゆう会など在阪のエイサー3団体でしょう。
 確認してみると、かりゆし会、琉鼓会が15回のフル出場、琉ゆう会はそれに次ぐ14回なのだそう。やっぱりね〜。

 ステージに、水色の浴衣に鮮やかな花笠をかぶった3人の地方が登場し、「ハイサイ、臣下ヌチャー、琉ゆう会、チバリヨー!!」との掛け声で演舞開始。
 太鼓軍団は大太鼓、締太鼓合わせて8人と少ないですが、女性の手踊り隊が14、5人います。紺絣に黄色い帯。黄色いサージを頭に巻いて、ヒラヒラと踊ります。いいですね〜!

 園田青年会を模範としているようで、衣装まで園田青年会風。獅子舞まで登場! 演舞内容は不動。
 南嶽節のイントロから、仲順流り〜クーダーカー〜トゥータンカーニー〜海ヤカラー〜テンヨー節〜いちゅび小〜固み節〜花の風車〜唐船ドーイという、これまた不動のラインナップ。
 場内、踊りだす観客多し。


○大城クラウディア



 次は大城クラウディア。
 プログラムを見ると、出演者がどこから参加したかを“石垣島”とか“久米島”とか書かれているのですが、彼女は“アルゼンチン”と書いてある。(笑)

 去年の大阪ではアルベルト城間や宮沢和史、知名定男らとの共演だった大城でしたが、今年は堂々ソロでの出演。肩を大きく露出した紺と水色のツートーンのワンピースはくるぶしまでの丈。足元は黒いハイヒールでの登場です。

 1曲目は「片想い」。
 金城恵子あたりが好んでうたうような、沖縄女性の心情を吐露するような情け唄(大城美佐子の「片想い」とは別のうた)を、アルゼンチン出身の沖縄2世の大城クラウディアがうたうの図・・・というのは、なんか摩訶不思議。
 三線を弾きながら、ウチナーグチで、沖縄民謡の節回しで。うたう者のエキゾチックな表情さえ見なければ、これは立派な沖縄民謡です。(笑) さすが、コザの民謡スナック「姫」で我如古より子に師事しただけのことはあります。

 今年7月に、ポップス系のCD「月下美人」を発売してメジャーデビューしたことを告げ、2曲目は、三線を置いて、ノーズウォーターズの3人が入って、そのCDから「美しい島(くに)」を。
 これ、去年の琉フェスでもやっていた曲。日本の唱歌のような律音階の楽風。大城の持つ意外性が強調されます。
 ♪ 少し離れて歩く道 月に照らされ輝いた 静かな海が 遠くに見える ・・・
 アコギ、ベース、パーカッション。大城はハーモニカも披露しました。

 3曲目は、再び三線を構えて、BEGINの島袋優が作詞作曲したという「66億分の1の奇蹟」という曲を。
 ♪ 風が吹いているから 寄り添って歩こうか
     一人きりで来た道も 二人なら寒くない ・・・
という、軽快な曲調のハッピーソングでした。
○中村瑞希 & 吉原まりか

  marika.gif

 続いては、中村瑞希&吉原まりか。
 今年の琉フェス東京ではとうとう奄美からの参加者が消えてしまいましたが、琉フェスに奄美の唄者は欠かせませんよね。

 おれは実力、容姿ともにすぐれている中村瑞希のファン。なので、このステージには期待していました。
 「実力」に関しては、繊細な裏声があると思えばストレートの伸びも豊かで、プロ野球で言えばダルビッシュみたいなヒト。
 でもね、「容姿」に関しては、うたっているときの立ち姿や表情がいいということであって、平常時の彼女についてはどうなのだろうか??というのが本音。だって、ふだんのミズキって知らないんだもの。

 そのミズキは、画像と同じワンピース。黒に大島紬の模様があしらわれているソリッドなもの。マリカも黒で合わせています。

 「ウガミショーラ!」とあいさつをして、1曲目は「ヨイスラ節」。
 ミズキの三線1本でじっくりと聴かせますね〜。細竹でつま弾く奄美の三線の音色はまた格別です。
 髪をアップにしたミズキはやっぱり美人だなぁ。ステージ映えのする顔なのだろうな、きっと。もっちりした唇をはっきりと開いてうたう姿が実に凛々しい。

 ここまでに登場した唄者の中では最上と感じました。
 03年に「嘉徳なべ加那」で奄美民謡大賞、05年に日本民謡民舞大会で内閣総理大臣賞、06年には「やちゃ坊」で日本民謡フェスティバルでクランプリという受賞歴。
 彼女には最上と感じさせる何かがあると思う。

 2曲目は、マリカがいつものペタペタしたしゃべり方で振り付け指導をし、だんだん速くなるからね〜ということで、マリカ&ミズキのコンビでよくやる「うんにゃだる〜ほこらしゃ」をにぎやかに。

 ここでマリカが下がって、ハシケンがキーボードで登場。このところ二人はつるんで活動しているようで、「TSUMUGI」という曲を披露。
 島唄とは別の、南の海にたゆたうようなスローバラード。嫁ぐ娘が、家族に感謝を込めてうたううたのよう。ミズキのうた声はジャズボーカリストのようで、見事! 声に不思議な力が宿っているよう、と言ったら褒め過ぎか。これは秀逸でした。

 RIKKIや元ちとせなどのように、ミズキもこういううたを世に問うようになりましたが、しかし、ミズキの持ち味、ベースはやはりシマウタ。一時の爆発的人気なんかいらないから、あくまでも本業はシマウタでやってほしいものです。

 ステージは期待どおり。彼女は今や奄美でもっとも旬の唄者なのではないかな。
 マリカは、06琉フェスのときの坪山豊と同様に、ミズキの引き立て役になってしまったような感じでした。
○下地 勇



 続いては、下地勇です。
 今回はバックバンドなし、一人、アコギ1本での勝負です。
 白い開襟シャツの胸元をボタンをはずして大きく開き、その上に黒いベスト。下も黒のフィットパンツという出で立ち。立派なガタイとスマートさがサマになっています。

 いつものように何の説明もなく、ギターを掻き鳴らしながら、我々にとっては意味不明のミャークフツの歌詞を早口でうたい始めました。

 下地勇のステージについて書こうとするときにいつも悩むのが、曲名。歌詞が皆目わからないので、なんとか曲調で何をうたっているのか聴き取ろうとするのですが、しばらくたつと忘れてしまう。(笑)
 本人も曲名の紹介なんてしないのが常だから、あとで下地勇のHPのディスコグラフィにあるメロディを聴いて、あ、この曲!なんていうふうに判別することになります。
 しかし、今回はそうしてもワカラナイ。(悔)

 ということで、2曲目の曲名も不明。スローな8分の6、多少メランコリックな印象を受けるものでした。

 2曲終わってようやくMC。
 まずは「今日は晴れてよかったです!」とあいさつ。
 雨が降ると、出演者、スタッフのみんなが下地を恨めしそうに見るそうで、野外のステージはトラウマになっていたと、下地は話します。

 立って踊らせたいのですが・・・今回はないんだよねー、ということで、3曲目は「狭道小からぴらす舟」。これはよくうたうので、ワカル。
 一人でくり舟を、腕が折れても漕いでいく・・・といううただとの前ふりで。

 この9月に「民衆の躍動」というアルバムをリリースしたらしい。下地はどんどん音楽的なウイングを広げていっている印象で、ますます多国籍化というか、無国籍化というか、そんな状況になっているよう。
 それが彼がやりたい音楽なのだからそれでいいのでしょうが、ちょっと琉フェスの範疇からは離れていっているようにも思えるのですが、どうでしょう。

 ところで、彼は今年40歳って、知ってた?(笑)
○成底ゆう子



 幕間に登場したガレッジの前にはビールが山ほど積まれ、たじろぐ二人。そんなことがある間にステージの準備が整い、次は成底ゆう子です。
 よっ、待ってました! 今回は彼女にちょっと期待しているのです。生で聴くのは初めてなので。

 あれは2年半ほど前の寒い冬のこと、こんなおれにもツライ出来事があって、身も心もしみじみ落ち込んでいた日々がありました。そんなときに励ましてくれたくれたのが、彼女のうたう「真っ赤なデイゴの咲く小径」だったのです。

 小柄な成底は、Rolandのキーボードの前に座って「みなさん、コンニチハー!」と甲高い声であいさつ。黒い上着に脛までの黒いタイトなスパッツ、黒いヒールに長い髪。キレのあるエキゾチックな顔つきだなぁ、沖縄の顔ですね。

 1曲目は「この地球(HOSHI)に生まれて」。
 声の強弱のつけ方が彼女の真骨頂のよう。ピアノの弾き語り風なのですが、節回しには民謡風に聴こえるところもあっていとおかし。
 ♪ このほしに生まれて あなただけを・・・のところなんて、民謡ですな、八重山民謡。(笑)
 あ、いや、それがいいのですよ、あーた。

 うたい終えて、観客に向かって手を振る成底がかわいい。
 ずっと琉フェスに出ることを夢みていたと語り、一昨年、とてもかわいがってもらったオジィが亡くなったが、きっとオジィがここに来ていると思うということを話して、2曲目は「心の花」。

 ♪ ふるさとから 届いた包み
     箱の下には 折りたたまれた 母の手紙がありました ・・・
 ♪ さよなら愛してくれた人 抱きしめた人よ
     あふれる涙の彼方に あなたが映る
       涙の数だけ散って また咲く 心の花 ・・・
 きれいな詞だなあ。

 11月には石垣島まつりに出るので、「みなさんも、いっしょに石垣島に行きましょーねー」とウチナーグチのアクセントで話した後の3曲目は「ふるさとからの声」。

 ♪ 泣いて 泣いて くやしいほどに 自分の弱さと 向き合えず
     私の夢を いっしょになって 追いかけてる 愛に気づいて
       見慣れた文字に 涙がにじむ ・・・
というふるさとを想ううた。

 モチーフはあの「真っ赤なデイゴの…」と似ていて、こういう想いが彼女の創作活動の原点にあるのだなぁと一人感心したのでした。
 これらはいずれも、昨年3月に発売されたアルバム「この地球(HOSHI)に生まれて」に収録されているもの。買う価値アリかも、これ。
○いなむぬ3(スリー)



 次は、いなむぬ3(スリー)。いなむぬは“異な者”のことかな。
 パンフレットによれば、8days Functionというグループのリーダーだった石垣島出身の慶田盛大介と元DA PUMPの小浜島出身の宮良忍、元ノーズウォーターのドラマー田代浩一の3人で昨年8月に結成したユニットで、ギター、三線、パーカッションの編成で、心地よいアコースティックなサウンドが特徴なのだそう。

 初めて聴くことになりますが、司会のゴリも初めて聴くのだそう。ゴリたちは忍と再会して嬉しそう。忍もまた会えるなんてとヨロコぶ。彼らはNHKの朝ドラ「ちゅらさん」で共演した間柄なのです。
 フロントの二人は黄色基調の“LOVE ONLY ISLAND”と書かれたTシャツのラフな出で立ち、田代は白っぽいアロハです。

 1曲目は、「地球」と書いて“まんまる”という、3拍子のうた。忍がリード。
 う〜む・・・。あまり音楽的に聴かないほうがいいようです。(笑)
 ♪ 世界のどこかで戦争が起きても見てみぬふりをしている
       昔日本でも戦争をしていた 歴史を学ばなければ
          ララララ〜、みんなで・・・
みたいなうたでした。

 終わって、「飲みたいねー!」と慶田盛。すると、そうかとばかりにすぐに客からビールが差し入れられます。このあたりのノリが琉フェスですね。(笑)
 でも、次の曲が終わってからね、ということで、次は「キャッチボール」という曲。

 後天的に目がみえなくなっしまった75歳のオジィがリハビリしている様子をうたにしたという、きれいなアコギのメロディに三線の爪弾きが乗っていくようなやさしいもの。
 ♪ あなたの声 ボクの声 それが二人のキャッチボールなのさ ・・・

 スローな曲でいいのですが、おれとしてはちょっと中だるみ感あり。歌詞が説明口調過ぎるのではないかな。

 このあたりで売店で準備したビールと泡盛を飲み終わりました。
 これ以上飲むとトイレが近くなってしまうのでやめておくことにしますが、ステージのほうは差し入れのビールで“カリー!”で乾杯。「大阪バンザイ!」と言いながら飲む、いなむぬ3人。

 3曲目は、最後は踊って終わろう!ということで、にぎやかに。
 ♪ 輪を描いて 悩める心を歌にして
      かわいいあの子に恋をした 実らぬ恋ほど熱くなる
        舞(モー)イヤサー アイヤイヤササ モーイヤサー アイヤイヤササ ・・・
 だんだんと曲のスピードが上がって、立ち上がって踊りだす者多し。こういう曲が盛り上がるのですねぇ。